中学2年の16%が「ケータイで1日51通以上メールのやり取り」
2008年05月26日 08:00
日本PTA全国協議会が5月15日に発表した【子どもとメディアに関する意識調査】によると、携帯電話を持つ中学2年生の16%が、毎日51通以上のメールのやり取りをしていることが明らかになった。また、先に【「メールの返事がこないと不安」子どもの携帯依存傾向】でお伝えしているように、過半数が深夜でもメールの送受信をすることがあると答えており、多くの中学生が携帯電話経由のメールに夢中であるようすがうかがえる。
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今調査は2007年11月12日から26日までの間、調査票を配布し記述してもらった上で回収する方式で行われたもので、有効回答数は小学5年生が1753人、中学2年生が1942人、保護者はそれぞれ1700人・1777人。男女比は子供が49.5対49.6(無回答0.9)。保護者は母親87.7%、父親10.0%(その他、無回答あり)。年齢は30代が32.0%、40代が59.9%。共働きか否かでは共働きが58.0%、共働き以外が29.8%(その他、無回答あり)。
小学5年・中学2年それぞれ、携帯電話やPHSを持っている人に対し、メールの送受信数と通話時間それぞれについて尋ねたところ、次のような結果が出ている。
一日のメール送受信数
一日の通話時間
概要をまとめると次の通り。
・小学生は通話が多く、中学生はメールのやりとりが多い。
・中学生の4割近くは通話機能をほとんど使わない。
・小学生の3割はメール機能をほとんど使わない。
・小学生でも通話の時間は一日10分程度が過半数。
・中学生のメール使用頻度は分散傾向。
小学生が持つ携帯電話は「自由に使える情報端末」というより、親から与えられた「安全確認のための道具」という意味合いが強いのだろう。親に安否を伝え、あるいは親からの電話に答えて無事であることを確認してもらう程度なので、通話時間は短いものの、頻度はそれなりにある。そしてメールはあまり使われない。安全確認はメールでも可能だが、親心としてはやはり声を聞きたいからだと思われる。
……安否確認がメイン
→短時間の会話
・中学生
……友だちとのコミュニケーション
→メールのやりとりがほとんど
一方中学生ともなれば親との安否確認というよりは、友だちとの情報交換・コミュニケーションツールとしての意味合いが強くなる。通話用の「電話」としてより、「情報端末」としての立ち位置が前面に出てくる。利用頻度は人それぞれで、区分の問題もあるのだろうがメールのやり取りの本数は分散している。1日51通以上送受信する人が16.2%もいる一方、1~5通という人も14.0%。このあたりはまさに「個性」「個人差」としか表現のしようがない。また、「通話はほとんどせず、メールのやりとりばかり」という利用スタイルは【携帯電話は「電話」にあらず? 「ほとんど通話しない」が4割】の内容を裏付けるものともいえる。
この推論を確かなものとするのが、普段メールのやり取りをしている相手。
普段メールのやりとりをしている相手
小学生が「母親」「父親」の数が多いのに対して、中学生になると「同じ学校の友人」「同性の友人」「違う学校の友人」「異性の友人」と答える人が多数を占めている。小学生が親との安全確認ツール、中学生が同年齢層とのコミュニケーションツールとして携帯電話を認識していることが再確認できる。
ちなみに「違う学校の友人」という回答が多かったのはやや驚き。掲示板やチャットで知り合ったのだろうか。中学生の場合、携帯電話普及以前は幼なじみや近所の人でない限り、違う学校の人同年齢層と知り合いになる機会などめったになったはず(塾などがあるが……)。携帯電話の普及によって(深度はともあれ)、中学生時代におけるの友だちの輪の広がり方はむしろ大きくなっているのかもしれない。
携帯電話のメールへの依存度は小学生よりも中学生の方が高い。そしておそらくは高校生になればますます熱中するようになる……といった推論は【女子高生 ケータイ利用は 一日2時間 寝る間も惜しんで メールで やりとり】で裏付けられている。
先に[「メールの返事がこないと不安」子どもの携帯依存傾向]を掲載した際に、「子どもはコミュニケーションが狭く深い。だから短時間でも相手とのつながりがないとすぐに心配してしまう。大人と心理的な面の事情が違うし、手段は違えど昔も今も考え方は変わらない」という意見をいただいた。
広範囲な世界への視野展開がまだ十分でなく、学校という閉鎖社会で多くの時間を過ごす小中学生にしてみれば、確かにその通りかもしれない。また、例えば一日の大部分を会社で過ごす大人にしても、一日同僚や先輩、上司など会社から一度も連絡がなければ、やはり不安になってしまうだろう。
人は社会的な動物ともいわれている。言い換えれば「ひとりでは生きていけない」。自分が一人でなく、集団の中の一員であることを確認し、安心するため、中学生の多くはメールの送受信をしているのかもしれない。
(最終更新:2013/08/05)
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