【更新】2008年4月度の外食産業の売上は前年同月比でマイナス1.3%・日取りが影響、か?
2008年05月27日 06:30
日本フードサービス協会は5月26日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年4月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でマイナス1.3%となり、2005年2月以来2年2か月ぶりにマイナスに転じた。天候には恵まれていたものの、休日が前年同月と比べて一日少なかった他、食品価格高騰が心理的に客数の減少を導いているのではないかとも分析している([発表リリース])。
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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が162、店舗数は28358店舗(既存店はそれぞれ155、24591)と先月から大幅に増加している。新年度に突入し、新規参入した業者が増えたからではないかと思われる。
全業態すべてを合わせた4月度売り上げ状況は、前年同月比で98.7%と前年同月を1.3%下回り、しばらくぶりにマイナスを示している(当サイトで月次データを追いかけてからの限りでは初めて)。業態別では相変わらずファストフードが堅調で、特にめん類において著しい。客単価の伸び率はばらつきがあり、下げの傾向が見受けられるものの、店舗数・客数共に大きく上昇し、総売上は前年同月比でプラスマイナスゼロの水準まで持ち直されている。
一方ファミリーレストラン部門の伸び率は軟調。いつも軟調な中華形式はこれまでの下げの反動からか店舗数・客単価が伸びプラスに転じたものの、焼き肉部門の下げは相変わらずで、ファミレス全体では3.6%のマイナス。
先月同様「お天道様にはかなわない」の言葉にあるように、客数データ、しいては売上高は天候に左右されるところが多い。4月は休日が昨年より一日少なかったものの、雨天日も少なく気温も安定し、天候においてはまずまずの状況だった。にも関わらず客数は減少を見せ、これが結局売上高を押し下げる要因となった。
全店データ(既存店、新店合わせて)
4月データにおいてはここ数か月来よく見られる「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向が再び現れ、ファストフード部門においては和風店の下げをもカバーする形が見える。気候的にはそろそろ下火になってもおかしくないのだが、日本人はめん類が大好き、ということなのだろう。
客数マイナスに。
食品価格高騰報道が
心理的に影響しているのかも。
一方発表リリースでも言及されているように、客数の減少は原材料費の高騰による食品などの値上げ報道が相次ぎ、「外食なんてぜいたくだ」「高いよね」などいった心理的な影響がマイナスに働いたのではないかという分析もある。元々昨年夏以降、主要移動機関として用いる自動車燃料のガソリンの高騰、「外食の料理」から「自炊で料理を」へのシフトなどで外食産業は厳しいだけに、さらに原材料費の高騰だけでなく報道による心理的なプレッシャーが、大きな影響を与えているようだ。しかしそのような厳しい状況下においても、ケータイクーポンをはじめとした顧客の囲い込み戦略、品質の向上化によるアピールなどで客足を呼び込むことに成功している企業もあるとのこと。
食品価格の高騰は少なくともしばらくは続きそうで、その観点からすれば外食産業にも厳しい時代が続くものと思われる。業種別の特性(例えば焼き肉部門は低迷が続いている)は仕方ないにしても、顧客の誘引に成功している企業の事例を参考に、他の企業も積極的な展開を推し進めた方が良いのかもしれない。守りの時代であることに違いは無いが、単に防御を固めていただけではジリ貧に他ならない。攻勢を打てるポイントは積極的に打って出るべきだろう。
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