子供用バッグや筆記用具の売れ行きプラス…2008年4月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-0.8%

2008年05月25日 12:00

デパートイメージ【日本チェーンストア協会】は5月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年4月度における販売統計速報を発表した。それによると4月は3月同様に食料品の売り上げは堅調に推移したものの、住関品の動きが鈍かったこと、さらに日曜日が昨年4月と比べて一日少なかったことが災いし、総販売額では前年同月を下回る結果が出た。入学関連では子供用バッグや筆記用具の売れ行きが比較的伸びたようだ(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の75社・8745店舗に対して行われている。店舗数は先月比で98店舗増、前年同月比で55店舗減。売り場面積は前年同月比97.4%と2.6%ほど減っている。先月に続き、店舗数・売り場面積共に減少傾向にあるようだ。

昨今の傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし3月同様に年末前後で区切りよく閉店した店が多かったからなのか、あるいは不採算店舗の統合整理を進めているからなのか、4月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。これは3か月前から見られ始めた傾向で、チェーンストアをとりまく環境がターニングポイントの真っ只中にある(チェーンストアという分野の小売が縮小しつつある)可能性を示している。または効率化を極大に推し進めているのかもしれない。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆0941億8664万円
・食料品部門……構成比:60.6%(前年同月比101.3%、△1.3%)
・衣料品部門……構成比:11.8%(前年同月比93.1%、▲6.9%)
・住関品部門……構成比:21.3%(前年同月比97.0%、▲3.0%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比89.7%、▲10.3%)
・その他…………構成比:5.9%(前年同月比99.8%、▲0.2%)


店舗数の減少など
全体的に整理統合は続く。
食品以外の分野で
大幅な落ち込み。

4月は3月同様全国で平均気温を上回る温かい日が続いたが、雨も多く降り、客足を遠のける一因となった。年度の変わりめということもあり、心機一転でさまざまな買い物へのモチベーションが高まるはずだが食料品以外は総じて軟調、衣料品・住関品共に前年を大きく下回る結果となっている。特に天候の悪化は、春物衣料品全体の売れ行きを抑えてしまっている。

相場そのものの高騰や食品に対する安全性への期待の高まりから野菜の動きが良く、また畜産品(鶏肉、豚肉、ハムやソーセージ)など総じて堅調に推移している。一方「中食」の広まりからコンビニ業界では不調が続くお弁当などもよく売れたが、まだ問題が解決しておらずイメージダウンが避けられないぎょうざなどは動きが鈍かった。

新設住宅戸数との関連で気になる「家具・インテリア」「家電製品」部門では、藤家具などの季節家具や、夏に向けて今なら安く・工事の順番も待たずに設置できるエアコンは好調だったが、その他の商品は不調。リリースでは各部門の主要商品ごとに「好調」「不調」で表現しているのだが、この2部門はあまりにも「不調」が多く、景気の悪さを実感させる。

・住宅着工の減少影響
だけでなく、景気全体の落ち込みが
深く影を落としている可能性。
・安心安全安値でアピールする
食料品にお客の目が集まる。

先日発表されたコンビニエンスストアの4月度売り上げは、来客数が増加しているにも関わらず売り上げがさえないという結果が出ている。特に日配食品の売れ行きの悪さが目に留まる(日配食品のみ前年同月比マイナス)。今回のチェーンストアの売り上げが、全体・各商品の部門別で見てもコンビニの軟調さとは対照的に「食品のみが」良い傾向を見ると、お客側の傾向としては「全体的に不景気で買い控え」「仕方なく買わねばならないものは(ガソリン代を気にせずにすむ)近場のコンビニで最小限のもののみ購入」「安心・安全の雰囲気が感じられ、まとめ買いや特売で安く調達できる、しかも作り手の姿が見て取れるチェーンストアで食品購入」といった雰囲気が推定できる。

「小売不況」と小売業全般をひとくくりに見ることが多いが、各分野別にお客が持つイメージ、お客から見た「得意分野」は異なる。ガソリンの高騰による「足」の確保の問題、コンビニの件で触れた「タスポ」によるお客の流入、物価高の中でもあえて高値の国内産食品を求めようとする消費動向の変化など、お客とお店の間を取り巻く環境は刻々と変化している。業種ごとの得意・専門分野はもちろん、昨今の状況を適切に分析してフレキシブルな対応をとることが、各事業体が生き残る術なのかもしれない。

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