個人投資家の投資方針、安全性より運用益へ!?

2008年04月29日 12:00

【大日本印刷(7912)】は4月28日、個人投資家の満足度に関する調査結果を発表した。それによると個人投資家の投資傾向として「安全性より運用益を重視する」運用益重視派が以前と比べて増加していることが明らかになった。発表リリースでは「長期的な投資というよりは短期的な利益に関心が強まっている」と分析している(【発表リリース】)。

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今調査結果は首都圏に在住し、株式を保有している20~70代の個人投資家500人の回答をもとにしたもの。調査期間は2007年11月26日から12月11日。調査方法は調査票方式。男女比、年齢階層比は非公開。前回の調査は2002年に行われている。

今調査の概要は次の通り。

●「安全性より運用益」派が増加、短期利益に関心か
・「運用益より安定性を重視する」「やや安定性に重きを置く」……59.8%(以前は79.4%)→「安定性重視派」の減少
・「安定性より運用益を重視」「やや運用益に重きを置いて投資」……39.8%(以前は20.4%)→「運用益重視派」の増加

●「安定性重視派」と「運用益重視派」の関心項目の違い
・「安定性重視派」の重要視項目
  経営の安定性……64.9%
  企業の信頼性……60.2%
  配当……52.2%
  株主優遇策……51.5%
  CSR(企業の社会的責任)……47.5%

・「運用益重視派」の重要視項目
  収益性……81.4%
  売上・利益の伸び率……76.9%
  配当……66.3%
  株主優遇策……24.1%
  CSR……21.6%

●IRツールへの関心度の違い
・「安定性重視派」
  株主通信……67.9%
  決算短信……37.8%

・「運用益重視派」
  企業ホームページ……63.8%
  株主通信……49.7%


これらのデータから分かることを箇条書きにまとめると次の通りとなる。

・投資スパンが短くなる(短期運用派の増加、「投資」から「投機」へ!?)
 →より高いリスクを取る傾向へ
・投資性向にかかわらず配当への関心は高い
・「安全性重視派」は企業そのものを、「運用益重視派」は株価が短期的に大きくぶれやすい材料に注目する


リリースでは「個人の金融資産形成の方法が『貯蓄から投資へ』と変化する中で」という表現が用いられているが、「運用益重視派」の傾向を見ると「投資」というよりは「投機」の雰囲気が強く、一挙に「貯蓄から投資へ、投資から投機へ」と「投資」を飛び越してしまったような雰囲気が見受けられる。

「安定性重視派」の割合は毎月公開されている「ノムラ個人投資家サーベイ」の【最新データ(PDF)】では49.5%(「投資に際し重視する点」で「安定した利益成長」と答えた人)という数字が出ており、ほぼ同じ値となっている。インターネットなどスピーディーなツールの普及や投資資金の流動性の向上、ネット証券の利用が増えて投資が身近に素早くできるようになるなど、情報やお金の流れが高速化するにつれ、投資家も短期(短気)になりつつあるということなのだろうか。

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