【更新】松下電気産業と三洋電機が資本業務提携案・読売報じる

2008年04月28日 06:30

株式イメージ[読売新聞]は4月28日早朝、経営不振が長引く【三洋電機(6764)】の抜本的再建策として、【松下電器産業(6752)】と資本・業務提携を行う案が浮上していることを関係者の話として明らかにした。現在三洋電機の大株主である[三井住友銀行(8316)]など金融三社が持つ三洋電機の優先株を松下に譲渡する方向で検討が進められているとのこと。将来的には両社の経営統合も視野に入っているという。現在のところ両社から正式なコメントは出ていない。

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元記事によれば三洋電機では2006年3月に3000億円の優先株をゴールドマン・サックス、【大和證券SMBC(8601)】、三井住友銀行の3社に対して発行。普通株に換算すると発行済み株式の66.97%を占めることになる([当時の発表リリース、PDF])。

これら3社は「現状では三洋電機が単独で再建を果たすには時間がかかる」との判断から、三洋の事業と相乗効果があり、経営体力のある大手企業を対象に売却先を検討。結論として「手持ち資金を豊富に持ち企業買収を検討している」松下電器産業がターゲットとなった。

三洋電機は現状では経営再建に時間がかかる状態であるものの、今後の成長分野とされる充電池や太陽光発電、リチウムイオン電池などで世界トップクラスの技術力を複数持っている。松下電器産業と提携を行えば、世界に販売網を持つ松下との補完効果が見込めることになる。もっとも三洋電機は白物家電や半導体で苦戦し、さらに松下と重複する生産・販売拠点も多い。補完効果と共に「無駄な部分」も相当数あると見られ、部分的な提携に留まる可能性や、松下側の慎重論による業務・資本提携そのものの拒否も否定できない。

三洋電機の優先株に付随している譲渡制限は、約一年後の2009年3月に切れる。これ以降における提携を模索するため、今から「水面下での検討」が進められて来たようだ。仮に業務・資本提携を経て経営統合が果たされれば、売上高は計11.3兆円。【日立製作所(6501)】の10兆円を抜いて日本国内では電機メーカー首位に躍り出ることとなる。

今件は簡単にまとめると「再建するというから優先株引受けたのに、なかなか進まないじゃん。だったらこの優先株、松下に(一部)売りつけちゃおう。松下も提携先模索してるし、そうした方が業務面で提携しやすくなって経営再建も進むんじゃないかな」という思惑が金融三社側にあったものと思われる。

さまざまな優良事業部門を持ちながら、人事紛争や経営方針のぶれなどで経営改革が進まず、業務自身も不振にあえいでいる三洋電機。このような状況にある原因として、優先株式を保有する金融大手が人事面においても影響力を発し、社内統一がままならないからとの指摘もある。仮に業務・資本提携が実現することになれば、そのような問題も(一部は)解消されることになるのだろう。

具体的な話は優先株式の譲渡制限期限切れ前後に持ち上がってくるだろうが(今回の「関係者の話」も賛成派か反対派、いずれかの政派の思惑によるリークの可能性が高い)、今後もさまざまな方策が模索されるに違いない。


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