「ワンちゃんはこちら!」

その設備はお店に向かって左端の柱に設置されていて、地面から数十センチのところに金属製のフックが1つ柱に備え付けてある。そしてその横に、オレンジ色の文字パネル「DOG」をセメダインで貼り付け、上にはプレートで「ワンちゃんはこちら!」。

どうやら設置したばかりのようで、「DOG」プレートを貼り付ける時に使ったセメダインが下に垂れ、汚れた部分がそのままになっている。フックも新品同様。

セメダインがはみ出た部分が未処理になった「DOG」プレートと看板。

はじめは「なんだこりゃ?」という思いでプレートやフックを見ていたが、フックの高さを見直して気がついた。これは愛犬を連れて買い物に来た人向けの、愛犬をつなぎ止めておくためのフックに違いない。

コンビニの店内は基本的にペットの持ち込みは不可(盲導犬などを除く)。しかもこの「春日町一丁目店」は周囲に比較的ハイソな平屋建てやマンションが多く、犬を飼っている人も多い。犬の散歩がてらに買い物に来る人も少なからずいるだろう。その時、愛犬を天外に待たせておくためには、どこかに手綱を固定しておく必要がある。

大抵の場合はそばにある公衆電話か傘立て、自転車置き場の足場などを使うのだが、いずれにしても本来の目的で使う人にとって邪魔でしかない。また入り口に近いことも多く、出入りの邪魔になる場合もある。その点、この「ワンちゃんはこちら!」フックなら、入り口からずいぶんと離れているし、電話や自転車を置く邪魔にもならない。

基本的には柱に1つフックをはめ込んだだけで、たいした手間も費用もかかってはいないだろう。とはいえお客のことを考えたサービスとしては、なかなか気の向いたことをしているなと感心することしきり。同時に当方は犬を飼っていないものの、飼い主が愛犬をこのフックにかけて買い物に入るようすを想像し、微笑ましささえ感じてしまった。

……一つだけ難をいえば。まだアルバイトに周知が行き届いていないからだとは思うが、願わくば愛犬たちの邪魔にならないよう、周囲にホースやケースは置かないようにしてほしいものだ(笑)。