オンラインスーパー、ネックはやはり「送料」
2008年04月12日 19:30
【Webマーケティングガイド】が4月8日に発表した調査結果によると、インターネットを利用している主婦のうち、「送料が無料なら」オンラインスーパーを利用する意図があることが明らかになった。しかし送料が500円ならという問いにはオンラインスーパーを利用する意向はわずか3.8%に過ぎなかった。誤差を考えると「ほぼ利用しない」と考えてよいこの結果から見るに、主婦の間にオンラインスーパーを浸透させる最大の課題は「送料」にあるようだ(【発表ページ】)。
スポンサードリンク
●「送料かかるの? じゃあ使わないわよ」がほぼ全員
今調査は3月25日から26日の間、インターネット経由で25歳以上の主婦500人に問い合わせたもの。年齢階層比は非公開。専業主婦対兼業主婦比は1対1。ネット経由での調査なので、世間一般の主婦全体と比べれば幾分ネットへの抵抗感が薄いこと(つまり今件なら「オンラインスーパーの利用を毛嫌いする」人の割合が少ない)を考慮する必要がある。
今調査結果では
・オンラインスーパーの認知度は68.0%。しかし利用度は12.0%と低い。
・専業主婦の方が兼業主婦よりオンラインスーパーのことを良く知っている。
・過半数の主婦が「今後は(も)オンラインスーパーを利用したい」と考えている。
など、オンラインスーパーの未来は明るいような結果が見られる。今回スポットライトを当てるのはオンラインスーパーをはじめとするオンライン販売における最大の問題点「送料」について。「送料無料」と「送料500円」という二つの仮定において、オンラインスーパーを使うかどうかたずねたところ、両者間には劇的な違いが出た。
送料無料と500円それぞれの場合、実店舗とオンラインスーパーどちらを利用するか
送料無料の場合には過半数がオンラインスーパーを利用したい、と考えているのに対して「500円の送料がかかります」とした場合にはわずか3.8%にしか利用希望者がいなくなる。事実上「皆無」と見てよいだろう。お店側からすれば「手間がかかるし宅急便代なりガス代もかかる。500円くらいは大目に見てくださいヨ」というところなのだろうが、主婦からすれば「その500円が大違いなのよッ!」という気持ちなのだろう。
一方「送料無料」でも実店舗を望む主婦が4割強いる。これは単にオンラインスーパーが苦手、気に入らないというわけではなく、むしろ実店舗上のメリット(実物が確かめられる、外回りの楽しさ)を考えてのものだろう。
●オンラインスーパーのメリット・デメリット
同調査ではオンラインスーパー、実店舗を利用する理由も尋ねている。その回答を見ると、それぞれの店舗のメリット・デメリットがおぼろげながらつかめてくる。
■スーパーを利用する理由
・自分の目で見て商品を選びたい
・”今日は何が安いかな”と考えながら買い物に行くのが好きだから
・500円があれば他のものが買える
・送料はぜったい払いたくない
・送料を支払ってまで買い物をしたいと思わないから
・配達時間がおおよそなので、予定がたたないから
・古い商品を送られそうだから
■オンラインスーパーを利用する理由
・ポイントが貯まるので
・小さい子供がいるので
・現在両親介護中で思うように外出が出来ないので
・時間を有効に使いたい
・重たいものやかさばるものは、オンラインショッピングの方が楽だから
・仕事が忙しい時など買いに行く手間がはぶけるから
それぞれの店舗を利用する人たちの理由は、「その手段ならではのメリット」と、「別手段のデメリットを避けるため」が半々のように見える。例えば送料云々は「スーパーを利用する理由」というよりは「オンラインスーパーを利用しない理由」といえるし、「現在両親介護中で思うように外出が出来ないので」などはむしろ「スーパーを利用しない(できない)理由」といえる。
「コストがかかることは感覚的に分かっていても、どうしても送料は支払いたくない」これが主婦はもちろんのこと、オンラインスーパーをはじめオンライン系の通信販売を利用する人たちの共通認識といえるだろう。特に主婦は100円・10円単位で買い物を考えるため、少ない額にも見える送料にも敏感に反応する。また、主婦が行う買い物の金額は家電やゲームソフト、パソコンなどの趣味系アイテムと比べると少額なことが多く、送料が占める全体の支払いに対する割合が大きくなってしまうのも拒絶反応が強い一因といえる。
「主婦の買い物」には
ハードルが高い
例えばアマゾンの場合、一括送付で注文をすれば1500円以上国内配送料は無料となる。また、当方が自宅療養中だった際に非常に助けられた【西友のネットスーパー】でも5000円以上一度に買い物をすれば送料が無料になる。楽天市場内店舗でも似たようなサービスをしているところは多い。とはいえ、アマゾンはともかく他の店舗の場合、通常の「主婦が行うような買い物の額」で送料無料のハードルはやや高く、敬遠する対象となってしまうのは否定できない。
「利用する理由」の項目にあるように、実店舗でもネットスーパーでもそれぞれメリットがあり、どちらか一方のみに限定する必要はない。よい所取りをして、自分の生活をより充実するような選択肢を用いればよいだけの話。特にオンラインスーパーのメリット「重たいものやかさばるものを運んでもらえる」「自宅にいなければいけない場合でも買い物が出来る」は、これまでなら買い物ができなかった人にも買い物をする窓口を開くことになる。企業側もうまく活用すれば実店舗との相乗効果も合わせ、売り上げアップを図ることもできるだろう。
料金をプリペイド式にして
会員には送料無料サービスを提供
↓
[企業側]顧客の囲い込み
[お客側]送料無料で買い物
それこそドラえもんの「どこでもドア」が開発されない限り「商品送付の経費をゼロにして送料を無料にしても企業側の負担がかからない」仕組みにすることはできない。しかし実店舗でもサービスの一環として、「会員になれば一定額以上の買い物をした人には、無料で自宅まで商品を配送するサービス」が行われており、特に高齢者や怪我をした人に喜ばれている。会員になることでお客はこのサービスなどを利用するメリットが生じ、企業側はお客を「囲い込む」メリットが生まれるわけだ(配送サービスを受けるにはまとめ買いをしなければならない=多くの商品をまとめて買ってくれる)。
例えばネットスーパーならこの仕組みを応用し、最初に有料会員になることで会費と同額の「オンラインスーパー上でのみ利用できるポイント」を提供。有料会員なら年に何回までは配送料無料でお買い物ができる、という形にするやり方もあるだろう。あるいはチャージ形式にし、一定額チャージごとに「配送料無料回数」が増える方法でも良い。
お客にしてみれば元々その店で「実店舗のスーパーのように」何度と無く買い物をするのだから、買うたびにカード決済や着払い手続きをしようが、プリペイド方式で払おうが(つまりポイントを買う)同じこと。企業側にすれば購入してもらったポイント分だけ「お客を囲い込む」ことができるのだから、送料くらい無料にしてもバチは当たるまい。
プリペイドサービスの中にはチャージをするとマイルやポイントがたまったり、利用した金額以上のポイントが加算されるものがある。その「オマケ」分を送料負担分としてみては、という考え方だが、どうだろうか。企業の負担とお客のメリットのバランス調整が難しいが、少なくとも双方とも損をするようなことにはならないだろう。
■関連記事:
【広がるネット・通販での食品購入】
【シニア層の6割はネットショッピングを活用、9割強が「ネットは生活に必要不可欠」】
【少々割高でも便利、「ネットスーパーを使いたい」6割近くとの調査結果】
スポンサードリンク
ツイート