イギリスの新硬貨は奇抜で面白ユカイなデザイン
2008年04月12日 12:00
【イギリス造幣局(The Royal Mint)】は4月2日、自国流通硬貨を新しいデザインのものに変更すると発表した。公募によって寄せられたデザイン4000件の中から26歳の新鋭グラフィックデザイナー【Matthew Dent氏】の案が選ばれたもの。40年ぶりに変更される新デザインは、イギリス王室の紋章「the Shield of the Royal Arms」をかたどったものとなる(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
それぞれの硬貨(上)と、紋章の形に再配置したもの(下)。
リリースによると1ポンド硬貨は紋章そのものがすべて描かれているが、その他の硬貨(50ペンス、20ペンス、10ペンス、5ペンス、2ペンス、1ペンス)はそれぞれ紋章の部分部分を表現している。そしてそれらの硬貨を全種類集めてうまく並べられると、大きな紋章の形が描かれるという仕組みになっている。このように複数の種類の硬貨を使って「合わせ絵」としてデザインされたものは、少なくともイギリスの歴史においては初めてとのこと。
彼は【造幣局内デザイナー紹介のページ】の中で、
「6つのコインを縦横に並べることでジグゾーパズルのように王室紋章ができるようになるといいな、と考えました。それぞれのコインは紋章の特徴的な部分を示し、それらを集めて並べると完全な紋章ができるという発想が、我ながらとてもよいものだと想ったのです。
きっと色々な場面、たとえば学校の教室や酒場のテーブルなどで多くの人が、この『コインのジグゾーパズル』を楽しむことでしょう」
と述べている。
今回の奇抜なデザイン案の採用についてイギリス造幣局側では「歴史的な変更に違いない」とした上で、【プラチナ版】や純金製などをはじめとした各種記念硬貨の発売を予定している。
発想力そのものもさることながら、何よりデザイナーの「こんな仕組みを取り入れれば、皆がパズルのように硬貨を並べ楽しみ、親しみを持ってくれるだろう」という考えが素晴らしい。思惑通り子どもから大人まで、硬貨に対して今まで以上に興味関心を抱くに違いない。
複数種類の発行物を合わせると一枚の絵が出来るという仕組みは、日本では一般の流通硬貨においてはまずありえない話ではあるが、記念切手ならよく見受けることができる。今回発行が決定したイギリスの新通常硬貨が世間一般に広まり、話題を集めるようになれば、日本でも記念硬貨のレベルで同様のアイディアを採用する可能性もあるだろう。もちろん日本には「王室紋章」は無いので(「菊の紋章」はあるが……)、別の絵になると想われるが。
スポンサードリンク
ツイート