昨今の企業不祥事、「事後対応がマル」と評価されたのはあの事件
2008年04月03日 06:30
日本ブランド戦略研究所は4月1日、「企業・機関の事件・事故に対する消費者の意識調査」の結果を発表した。それによると昨今の事件や事故のあとの対応において、もっとも評価が出来ると判断されたのは【松下電器産業(6752)】のFF式石油暖房機に関する問題であることが明らかになった(【発表ページ】)。
スポンサードリンク
今調査は2月29日から3月1日の間に、ネット経由で20歳以上の男女に対して行われたもの。男女比は1対1で年齢階層は非公開。有効回答数は200。サンプル数がやや少なめのため、調査結果と世間の実情との間にはかい離が生じている可能性がある。
事件・事故後の対応が評価できる企業や機関
ここ数年で発生した主な大企業(など)の事件や不祥事などがリストアップされているが、発生からの時間経過と評価の間には相関関係はなく、「のどもと過ぎれば熱さを忘れ」というものでもないことが分かる。
もっとも評価されたのは松下電器の「FF式石油暖房機の一酸化炭素中毒事故」。他の項目と比べても段違いな高評価を受けていることが分かる。リリースでは「新聞広告やテレビコマーシャルを使った大々的な告知活動と徹底した製品回収を行い、その真摯な対応が多くの消費者に支持されたようです」と分析している。数百億の単位で費用がかかっているが(【参考:2006年3月期には249億円の対策費が計上されている】)、それなりの効果はあったようだ。
ついで【不二家(2211)】【雪印乳業(2262)】など、食関係の老舗ブランドの土台を揺るがしかねない問題への対応が比較的好感触を得ている。継続的な意識改革への姿勢が認められたようだ。
一方で選択肢の中でも回答者の中で1割未満しか評価を受けていない問題点、特に200人中1桁しか評価されていない事象が多いのも気になる。下から挙げると「社会保険庁の年金問題」「NHKの番組制作費詐取」「ニチアスの耐火材偽装」など、指摘されれば「なるほど、確かに評価はできないよな」と納得できるようなものばかり。特に女性層の評価が厳しいのが分かる。とりわけ年金問題は次から次へと不祥事が発覚し、肝心の「本来ペナルティを受けるべき人たち」が舌を出しているような状況なのだから、評価云々以前の問題といえるかもしれない。
1.情報公開
2.誠意ある補償
3.経緯の継続的公表
4.組織改革
今調査では同時に「事件・事故を起こした後、企業の信頼回復にとって有効であると思う対応」についても問い合わせている。それを見てみると従来一番最初に当事者側が行うであろう「責任者の処分」は大して貢献しておらず、何よりもまず「情報公開」がもっとも重要視されているのが分かる(特に若年層の支持が大きい)。
次いで「被害を被った人に対する補償を誠意を持って行う」「その後の経緯を継続的に公表する」「事件・事故の温床となった組織を改革する」などと続いている。不祥事が発覚した際の経営危機管理という観点における必要事項としては、基本中の基本ばかり。しかし同時に、滅多なことではおきない不祥事だからこそ、普段から備えていないため、「いざ」というときにあわててしまって何もできなかったり、つい情報を隠すなどの「大人気ない対応」をし、逆効果を生み出してしまう。
大企業になると経営危機管理の専門セクションを設けているところもある。また、「必要は発明とビジネスの母」とばかりに、そのような事態が起きたときに最善の対処策をアドバイスしツールも提供する、アウトソージング系の企業も多数登場している。
企業不祥事の際の対応でも、基本は普通のビジネスと同じで「相手のことを考えて行動する」ことに他ならない。多くの企業には「有効であると思う対応」を見直し、参考にしてほしいものである。
スポンサードリンク
ツイート