オンラインゲームの転換期か・コムシードやガンホーが相次いで戦略変換

2008年04月02日 08:00

ゲームイメージ【コムシード(3739)】は3月31日、自社連結子会社におけるオンラインゲーム事業・コミュニティ事業を整理(停止)し、モバイル事業に経営資源を集中していくことを発表した。今後事業を拡大推進するにはさらなる資本の投下が必要で、収益の改善は難しいとの判断から(【発表リリース、PDF】)。

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コムシードの決断「オンラインゲームは儲からないっぽい」「得意分野の携帯に注力」

リリースによればコムシードでは今期戦略的投資事業としてオンラインゲーム事業・コミュニティ事業を立ち上げ、来期から投資の回収を行う腹積もりをしてきた。それに従い同社初のオンラインゲームタイトル「ペーパーマン」を投入し、海外展開も推し進めてきた。しかし韓国でのライセンス運営、日本でのテストサービスに続き、中国などの海外市場向けに予定していたライセンス契約において市場・環境の変化から契約締結の見通しが立たなくなり、さらに海外売り上げが計画を下回ることが予想されるなど、資本のさらなる投資が求められる状況になった。

一方コムシード全体では2008年3月期に営業損失が見込まれるため、来期における営業利益の黒字化を最優先課題ととらえ、「子会社3社にて行ってきたオンラインゲーム事業及びコミュニティ事業を一旦整理し、創業以来経験とノウハウを積み重ねてきたモバイル事業にまず経営資源を集中させ、業績回復へ向けた経営基盤の強化を図る」ことを決定した。

要は「オンラインゲーム事業の継続にはさらなる投資が必要で黒字化は一筋縄ではいきそうにもない。しかし会社全体の経営状態を考えれば、優先順位を下げざるを得ない」という判断を下したことになる。この戦略変更によりコムシード側ではモバイル事業の強化、そしてモバイルと相互にプラス作用が見込める分野(パチンコ・パチスロ方面、ゲーム系新エンタメコンテンツの開発)に展開し、パートナーとの積極的な提携も模索するとのこと。

ガンホーも一部分野で撤退・オンラインゲームの転換期か

コムシードの事業戦略転換だけなら一企業のお話ということで片がつくのだが、ほぼ同日の4月1日、【ガンホー(3765)】でもオンラインゲーム投資事業を終了するという発表か行われている(【発表リリース、PDF】)。要はオンラインゲームを開発する企業に投資して収益を得る事業を展開していたが、それを終了するというもの。リリースでは「近年の法規制等の変化により、当事業の投資形態を維持することが難しくなったことから」とし、金融商品取引法など金融関連の法令の変化、投資事業組合に対する規制の強化などを理由として挙げているが、実際にはコムシード同様に「オンラインゲームの分野では短期間で投資を回収する時代」はすでに過ぎ去り、回収そのものも難しい場合が多いとの判断もあったに違いない。

オンラインゲームを
「出せば売れた」「始めれば儲かる」
という時代は終わりを告げ、
良い作品、人気が集まる作品だけが
生き残れる時代に

『ラグナロックオンライン』の大成功で上場を果たせたと表現しても過言ではないガンホーの上場時期のような、それこそ「雨後の竹の子のように」続々とオンラインゲームが登場し、まさに「週刊オンラインゲーム」がディアゴスティーニ社あたりから出るのではないかとうわさされるほどの時期もあった。しかしオンラインゲームはプレイ中、プレイヤーの時間を拘束してしまう。

1日は24時間しかないから、どれだけ面白いオンラインゲームが増えても、プレイヤーは一定以上には増えようがない。かくして「ごく一部の勝ち組オンラインゲームに多くの利用者が集まる」「他のゲームは閑古鳥」という図式が出来上がってしまった。そして一つのゲームに注力するプレイヤーは他のゲームには目もくれないから、新しいオンラインゲームが飛躍する可能性も低下する傾向が大きくなっている。

悪く言えば「粗製濫造の時代の終焉」、よく言えば「市場原理が有益に働く時代の到来」がオンラインゲーム業界にもようやく訪れたというところなのだろう。


■関連記事:
【ネットワークゲームの課金、これまでとこれから(下)】

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