最良の投資方法とはまず最初に●●を○○すること

2008年04月01日 06:30

最初にやることイメージサブプライムローンやモノライン、リセッションなど不況をにじませるキーワードが毎日のように飛び交うアメリカ経済。だが金融大国である威厳は相変わらずで、一般消費者の投資欲、投資に対する知識欲も変わらない。そのような状況の中、彼らに向けた記事も、最近では景気の縮小や信用不安という現状に基づいた投資論が多くなっている。今回紹介するのもその一つ。おなじみのUSA TODAYからのもので、タイトルは【最良の投資法・まずは債務を返済しなさい(Your best investment? Paying off that debt)】というものだ。

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借金を抱えながら投資はするな

元記事ではまず最初に「クレジットカードやその他の借金を抱えているのなら、最良の投資法はそれらの債務を片付けること」と結論を述べ、その理由を説明している。具体例として、もし手持ちの余剰資金が1万ドルあるという状況を設定。この1万ドルを年利3.36%の国債に充てれば、1年間で336ドル、10年で3360ドルを手に入れることができる。

負債の利息は得てして
同額の投資の利益より
上回るもの

しかし同時に、仮に1万ドルのクレジットカードの請求があるとすれば、国債の購入とクレジットカードの債務返済のどちらにあてるべきだろうか? 答えは簡単。「国債など買わずに、今すぐにクレジットカードの債務を全額返済しなさい」。

詳しい数字は省くが、元記事の「ごく普通にありがちなクレジットカードの請求に基づいて」支払いをした場合と一括支払いをした場合で比較すると、「'1か月'で平均350ドルの節約」になるという。国債を買った場合に得られるのは「'1年間'で336ドルの収益」。債務を抱えながらの投資がいかに馬鹿げているかが分かる。

元記事にはないが付け加えておく。「国債やその他の投資方法で、負債の一括返済で得られる'節約額'以上の収益をあげればよいではないか」。このような意見があるだろう。確かにその通り。しかし「マーフィーの法則」にもあるように、損をしそうな状況下においては、たいていその通り損をしてしまうもの。そして自分自身の胸に手を当てて考えてみよう。自分は果たして、クレジットカードなどの債務にかかる利息以上の収益率をあげるだけの投資手腕を持っているだろうか。逆説的な話になるが、もしそのような腕前を持っているのなら、そもそも負債など抱えてはいないに違いない。

負債を減らす5つのコツ

「投資する余裕があるのならさっさと負債を返せ」とはいうものの、(元記事はアメリカのものなのでアメリカ人のほとんどは)クレジットカードなどの負債を返し切るだけの現金を持っておらず、借金に頭を抱えているのが実情。しかしそれでも少しずつ返済をしていけば、いつか必ず道は開ける。決して負債額を増やしてはいけないとした上で、元記事では「5つの負債を減らす方法」と「5つの借金の底無し沼から抜け出る方法」について語っている。今回はそのうち「5つの負債を減らす方法」についてまとめてみる。おそらくは日本においてもほぼ当てはまるはずだ。

1.クレジットカードの使用を止める
使えば債務は増える。自動引き落としを使っているのなら、普通口座から引き落としをするように変更する。

2.より低利な条件に変える
利率が低いほど負担も軽くなる。カード会社に問い合わせるだけならタダで済む。紳士的に、しかし何度となく問い合わせてみることを勧めている(元記事では住宅ローンをうまく使えば税金の面でも有利になるとはあるが、現在住宅価格は急降下中なので現実的ではない)。

カードイメージ3.高金利のクレジットカードの負債から返済する
同じ負債を返済するのなら、多少面倒でも高金利のものから返していく。金利差による負債額の違いはほんのちっぽけなものかもしれない。しかしその「少しの差」が積み重なり、債務の全済への近道となる。

4.節約する
クレジットカード絡みで返済計画が破綻してしまう人のほとんどは、不意の出費によるもの。世の中何がおきるか分からない。カードの返済をするのは最優先事項に違いないが、それとは別に定期的に少しずつでもよいから貯蓄をしておけば、突発的な出来事(たとえば急病や事故)にも対処できるだろう。その「備え」がカードの返済計画に(主に心理的な)余裕をもたらすことにもなる。

5.助けを求める
自分ひとりの力ではどうにもならなくなった場合、非営利団体の相談窓口や公的機関の相談受付に足を運ぶという選択肢を考える必要がある。ただしうさんくさい相談相手だと事態は余計に悪化しかねない(日本での良い例を挙げると、スパムメールなどで送られてくる、怪しげな誘い文句と共に「あなたの借金片付けます」的な勧誘をしてくるものなどが該当するだろう)。



消費大国アメリカらしい、クレジットカードに対する問題提議や解決法だが、同時に原則論を貫いたシンプルなもの。そして日本でも十分通用する「5原則」であることが分かる。日本で同じような立場に置かれている人にとって、「なるほど」とうなづける部分も多いはずだ。

ちなみにもう片方の「5つの借金の底無し沼から抜け出る方法」を取り上げなかったのは、あまりにも日本の実情とはかけ離れているものばかりだから。さらに日本でも似たような案件として「複数のカード会社から借りている負債を一つにまとめれば混乱は防げるしハードルは低くなる」として「おまとめローン」なる金融商品が多数展開しているが、これはこれで色々と問題が提議されている。詳しくは説明を省くが、興味のある人は【検索結果から参照してほしい】

ともあれ冒頭にもあるように、「借金を抱えながら投資はするものではない」。投資で得られるリターンと、借金で抱える負債を天秤にかければ、どちらがより大きいかは誰の目にも明らか。借金と投資を同時にできるのは、その天秤の目盛りをさまざまな誘惑にかられることなく正確に読み取ることができ、しかも「投資の方が大きい」と判断できる時だけに限られると思った方が良いだろう。


■関連記事:
【「ローンがおりない」人のために・三つの改善ポイント】

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