実は違っていた9つの健康神話
2008年04月14日 08:00
「大量の水を飲むと体に良い」など、健康に関する逸話や語り伝えられている神話は山ほどあれど、それが確かなものであるとする証明はあまり聞いたことが無い。効果は人それぞれだったり、プラセボ(偽薬)効果では、という類のものもある。【9 things to stop worrying about right now(健康に関して気にかけることは無い9つの逸話)】では9項目の「健康神話」の実情を伝えている。
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1.一日8杯の水を飲むと健康に良い
1945年のアメリカの健康に関する協議会が「毎日8杯の液体を口にしなさい」と助言したところ、それが拡大解釈され、「通常の飲み水に加えて8杯水を飲むべきだ」という言い伝えが出来上がった。しかし実際には水だけでなくジュースやお茶などでも問題なく、利尿作用を期待できる。のどが乾いたのなら水を飲めばよいのであって、無理に多飲すると体内のナトリウムが減りすぎるなど逆に不健康となってしまう。
2.ストレスがたまると髪の毛が白くなる
ストレスのホルモンが髪の毛の白毛化に作用するということだが、実のところ科学的な証明は無くむしろ遺伝子的な要因が大きい(※不破注:とはいえ急激なストレスが人間の髪の毛を短期間で白くしてしまう事例はいくつか耳にしている。きわめて短時間においてはありうるのだろう)。
3.暗いところで読書をすると目が悪くなる
子ども時代に親から「そんなところで本を読んでいると目が悪くなるわよ」としかられた経験を持つ人も多いはず。しかし原文によると暗さ・明るさというより本を見る角度に問題があり、それが頭痛の原因になる」としている。疲れ目以外には直接視力を下げることはないのだとか。
4.コーヒーは体に悪い
「朝の一杯のコーヒーが一日の活力を与えてくれるのに!?」と嘆いている人もいるだろう。コーヒーのカフェインが体に毒だという話はよく耳にする。しかし実際には抗酸化効果が期待できるだけでなく、肝硬変やパーキンソン病、胆石のリスクを減らせるだけでなく、頭もすっきりするという。1日2~3杯程度なら、コーヒーによるリスクは気にしなくても大丈夫とのこと(それでも気になるのなら低カフェイン・ノンカフェインコーヒーを選べばよい)。
5.風邪で熱が出たら断食すればよい
これは(日本人の当方には)聞いたことがないのだが、発熱した場合にその熱量発生をおさえるため、断食すると早く熱が引くという言い伝えがあるらしい。しかし実際にはご存知の通り、そんな効果は無い。体調を崩して食欲が無くとも、せめて栄養のあるスープ系の食事を摂るのが望ましい。日本人の場合ならおじややおかゆ、雑炊といったところだろう。
6.冷凍食品より新鮮なものがすべてにおいてよい
「冷凍食品なんて代替品、新鮮な野菜がすべてにおいてベスト」という考えがある。しかし冷凍技術は進んでおり、場合によっては手にとった冷凍食品(特に野菜や果物)が、「産地直送」とラベル貼りされている食品よりも鮮度が良い場合もある。また原文には無いが、食品によっては冷凍したほうが栄養分が増すものもある(例えばしいたけなどのキノコ類)。昨今では中国産食品の問題もあり一概に言い切れないが、出荷されたままの形の野菜でも冷凍食品でも、産地や出荷工程などを詳細にチェックする必要があるだろう。
7.卵はコレステロールを上げ心臓病のリスクを増やす
「卵はコレステロールを高め、心臓病のリスクを増大させる」という定説がある。しかし昨今の研究で心臓病のリスクを高めるのは単なるコレステロールではなく、問題視されているトランス脂肪酸によるところが大きいとのこと。例えば卵1つにはトランス脂肪酸は1.6グラムしか含まれて居ないが、2%のミルク1カップには3グラムも含まれているという。コレステロール値そのものも「1日300ミリグラム未満が望ましい」という基準に対し、卵は213ミリグラムでしかない。また卵はたんぱく質やビタミンA・Dなどを豊富に含み、しかも安価であるという長所もある。卵でコレステロールが高い云々と嘆くのなら、まずは他の食品に目を向けたほうが良い。
8.「寒くしていると風邪を引くよ」
……という台詞も良く母親から聞かされたもの。しかし実際には冷えそのものは(極端なものでない限り)体の免疫には害にはならなのだという。例えば風邪の場合、風邪のウィルスにさらされない限り、風邪は引かない。例えば「冬、風邪を引く人が多いのは外が寒いからではなく、暖かい場所に閉じこもって風邪のウィルスにさらされる時間が長いから、と考えることもできる」という。
しかし「人は常に風邪のウィルスにさらされている」ことに違いはない。そのウィルスに対する抵抗感が落ちるのはやはり問題かもしれない。今件は「寒い=風邪を引く」ではなく「寒い=体力が落ちる=風邪を引きやすくなる」と考えるべきだろう。
9.口紅は鉛中毒などのリスクがある
アメリカでは昨年、自然保護団体の調査によって「調査対象となった口紅の1/3以上に許容量以上の鉛が含まれている」という結果が出て、軽いパニックになったらしい。しかし実際にはその程度の量の鉛は、古い住宅のパイプや塗料などから体内に吸収されうるレベルのものであり、いくら口元に引く口紅であったとしても心配する必要はないとのこと。
原文を読み通していく最中に「これはちょっとあまりにも違うんではないかな」というものもあり、それについては別解釈を付け加えさせてもらった。あるいは蛇足だったかもしれない。しかし大筋として「水をたらふく飲めば即健康」のように、迷信に過ぎないものも多いことはお分かりいただけたはずだ。
「健康神話」には過去の経歴・実績・経験則から成る「科学的な証明はできないけれど確からしいもの」のもあり、侮ることはできない。しかしその一方今件のうちいくつかのように、単なる見た目や印象から形作られた似非科学的なもの、元々別の意味や理由があったのに時間の流れと共に解釈が違ってしまった・一人歩きしてしまったものもある。一般の情報と同じように、元ソースをたどって確かめることが重要なのは、健康においても同様なのだろう。
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