展示されていたZPrinter 450 Systemと同系モデル

イベントでは3Dプリンタの【Zシリーズ】のうち「ZPrinter 450 System」が展示され実演されていた。この3Dプリンタ、仕組みとしては【カタログ、PDF】などにもあるが

というもの。要は理科室や地質学関係の研究所、資料館でよく見かける「等高線地図」の輪切り面が非常に細かいもの、あるいは紙を何百枚も重ねて立体的な模型を作る、数学的には「積分的に成型した模型」と考えればよい。このフルカラー3D立体プリンタの構造・仕組みについては【こちらに動画もある】ので気になる人は見てみるとよい(諸般の事情で貼り付けはできない)。

「プリント」のされ方

「プリント」後は石こう粉のほとんどが自動的に取り払われる

このモデルでは従来の3Dプリンタの5～10倍でのスピードで造形が可能で、例えば100×482×127ミリのノズル状のものなら3.5時間で作成できるという。また模型を形成する「石こうの粉」の材質も上位機種のZ510なら通常の石こうの他に、ゴムのような弾力性を持たせる「デンプンベースパウダー」や、そのまま鋳物の金型などを創れる「セラミックベースパウダー」などが使え、用途も色々と広げられる。

元記事によれば昨年4月の発売からこれまでに70台を販売(1台880万円)。携帯電話や自動車のデザイン試作品、医療現場で臓器や歯の模型を作って事前シミュレーションに使うなどの用途があるという。またカタログでは各種部品に限らず新商品のアイディアを立体化してその品質や可能性を検討したり、建築分野(建設予定モデル)や地理情報モデル(まさに例に挙げた「等高線地図」)の作成を提案している。

「元の立体データがあれば何でも立体模型が作れる」という夢のような「プリンタ」。先のYouTube上のコメントでも「これマジかよ」「日本人スゲぇ」などの絶叫をはじめ、「なんてこった、日本人は俺達が欲しかったものすべてを完璧に作りやがる」「これでiPodを創ればいつでも俺はiPodをゲットできるぞ」「大好きなキャンディや……えと、そしてお金もコピーしちゃえ」など想像力が豊かなのか貧相なのか良く分からないが、ともあれ非常にびっくりしているコメントが多く見受けられる。

価格がそれなりに張るものなので、よほど財力に余裕がある人でないと個人ベースでの所有は難しいだろう。むしろDICO側が提示したようなシミュレーションを求められる分野、プレゼンテーションなどでサンプルがあれば訴求力をプラスできる企画開発会社など、用途は色々と考えられる。グラフィックデザインに長けた事務所なら、さらに多種多様なアイディアを生み出せるだろう。

藤子不二雄先生の短編集内収録作品の「ミニチュア製造カメラ」や「ドラえもん」に登場した「ポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ」を見て、元々模型好きな当方としては「写真を撮るとその建物が模型として手に入る、いつかこのようなものが実際に出来るといいな」と考えていた。同じ想いを持っていた人も多いだろう。

まだ個人の手に届くようなレベルではないが、それに近いものが現実のものとなったとは。驚きと共に、未来へのさらなる期待をせずにはいられないものだ。