影響力のあるブログの3つの特徴

2008年04月07日 08:00

ウェブログイメージ【ニフティ(3828)】とビデオリサーチは4月3日、ブログサイトに関する共同研究調査の結果を発表した。それによるとアクセス数の多いブロガー(ブログを書く人)は記事を書く際に「読みやすさに気を配り」「読み手への共感を糧とし」「定期的な更新を心がける」など、読み手を強く意識し記事更新を行う傾向があることが明らかになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査はネット経由で2007年12月に行われたもので、年齢層は15~49歳。有効回答数は週一以上でブログを更新しているブロガー530人、自分のブログを持たずに週一以上でブログを閲覧している人530人の計1060人。男女比・年齢階層比などは非公開。

今調査結果では商品のブログ上での紹介やその記事掲載がもたらす効果など、俗に言う「バイラル・マーケティング」「ネット上の口コミ効果」などが主に語られている。今回はそれとは別に、ブログそのものの影響力、とりわけ「影響力のある」とされるブロガーに関する調査データにスポットライトをあててみる。

アクセス数の多いブログは「読み手の気持ち」を考える

「1日100アクセス以上」をアクセス数の多いブログと定義し、そうでないブログと区分した上でデータを見てみると、次の項目で特に「アクセス数の多いブログ」では一般ブログと比べて留意度が高いのが分かる

ブログ記事をアップする際の心境
ブログ記事をアップする際の心境

・記事の読みやすさに気を配る
・読み手に共感されると嬉しいという想いがある
・定期的な更新を心がけている
・話題性のある内容をとりあげるようにしている
・読み手にとって価値ある情報を提供することを意識している


ブログは元々「ウェブログ」の略で、「ウェブサイト上にさまざまなログ(文章、テキスト、文字列)を簡単に掲載する仕組み」のことを指す。その原点を見直せば、それこそ「好き勝手にウェブサイト上に『ことば』を載せてアピールする」のがブログであり、「他人には見てもらいたいがそれが一義的ではない」だったはず。しかし実際には「アクセス数の多いブロガー」のブログが「掲載すること」ではなく「見てもらうこと(読んでもらうこと)」の気持ちが強く、マスコミなどが行う「報道」や企業などが実施している「プレスリリース」「告知」と何ら変わらない動機のもとで更新が行われていることがわかる。

アクセス数の多いブログは情報源が自他双方に及ぶ

ブログの特徴についてもう一つ、「ブログ記事の情報源」という観点から見てみる。アクセス数の多少にかかわらず「自分自身の体験・考え」は多いものの、それ以外の項目で「一般ブログ」と「アクセス数の多いブログ」の間には大きな差が出ている。

ブログ記事をアップする際の情報源について
ブログ記事をアップする際の情報源について

■「アクセス数の多いブログ」が一般ブログより回答率の高い情報源
・他人のブログで見聞きしたこと
・ブログ以外のネット情報(サイトや掲示板、SNSなど)で見聞きしたこと
・テレビやラジオ、新聞、雑誌などのマルチメディアで見聞きしたこと


要は「一般ブログ」が自分中心の事柄、身の回りの出来事などを日記的に書き連ねているのに対し、「アクセス数の多いブログ」では一般ブログ以上に「第三者情報」も加味し、あるいは「第三者情報」を元に自分の考えなども織り込んで記事を書いていることが分かる。ブログ上に展開する文面において、あくまでも「自分の世界」を中心にするか、「自分の世界だけでなく周囲も対象とするか」の違いといえよう。

・一般ブログ
 ……日記の延長上
 →自分自身が主人公
 →情報源は自分とそのまわり
・アクセス数の多いブログ
 ……「文を読ませたい」「語りたい」
 →読み手が主人公
 →自分以外の方向にも目を向ける

これは直上の設問でも見られる「アクセス数のあるブログが報道や告知と本質的に変わらない」とも結びつく。日記ならば自分の周囲にある出来事を書けば事足りる。これは「他人に見せない」という本来の「日記」と何ら変わりない。

しかし他人に見られる・読まれることを前提とし、その観点に重点をおいた場合、自分のことだけではなく周囲のことにも目を向ける必要が出てくる。「アクセス数の多いブログ」にその傾向が強いのは、それゆえのものなのだろう。かくして彼らが行うブログのための情報収集は、企業の告知はともかくマスコミが行う「報道」のための「取材」と何ら変わりがないものとなる。


アクセス数の多いブログは
読み手への配慮や影響力などで
報道と何ら変わりない。
単なる日記がワンランク
ステップアップしたともいえる

アクセス数の多いブログとなれば、単なる日記の延長上ではなく不特定多数の人に閲覧されることを前提とした「公開文章」と受け止めることができる。それはつまりマスコミによる「報道」「マスメディア」と何ら変わりがない。「アクセス数が多いから、報道のように取材ソースを周囲にも向けて読み手のことを重要視するのか」、それとも「情報ソースを周囲にも向けて読み手のことを重要視しているから、アクセスが多くなり報道のような性質を持つにいたる」のか、どちらが先なのかは分からない(あるいは相互作用的なものなのだろう)。

いずれにせよ「アクセス数の多いブログ」がネット内外でマスコミ同様に影響力を持ち、それが情報の形成方法(自他から収集)や方針(読み手のことを考える)を同じくしているから、というのが今回の調査結果から分かる。調査結果の本流である「ブログ上の商品情報に関する口コミ効果」を「アクセス数の多いブログ」に求めるのも、ブログがマスコミに近い性質上、ブログ上での情報展開がマスコミでのタイアップ報道に近い効果を期待できるところからのものだろう。

この結論に至るにあたり、疑問点が2つほど浮かんでくるかもしれない。一つは「超人気ブロガーやタレントのブログは自分自身のことしか書いてないのに人気が出る」、もう一つは「人気ブログの特徴の一つは、自分自身の体験談や考えをしっかりと伝えている」こと。しかしこれもそれらのブログを良く見てみれば、その理由が分かるはず。

●タレントブログが「自分だけ」を
語っても人気が出るのは、
そのカリスマ性・公共性から。
●体験談が重視され人気が出るのは
単なる報道にはない
「確実性」「リアルさ」が
確認できるから。

前者の理由は「超人気ブロガーやタレントは彼ら・彼女ら自身の存在がパブリック(おおやけのもの)であり、自分自身の体験を書き連ねても、それが周囲からの情報と価値を同じくする」、さらに「むしろ彼ら・彼女ら自身の内面を知りたい人のニーズが強いから」に他ならない。ブロガー自身のカリスマ性があるがゆえの特異現象といえる。

そして後者の理由は「ブロガーの自身の体験を加味することで、通常の報道では得にくい『リアル感』『(ブロガーそのものの信用度にも左右されるが)確からしさ』を確信できる」点だろう。例えばラーメン通でおいしいラーメン屋さんをいくつも発見しているラーメンマニアな人のブログで「新聞に載っていたあのラーメン屋、実際食べてみたけどこれはウマいよ! 」と体験談と共に紹介されれば、元が他からの情報にもかかわらず「確からしさ」を上乗せしたことになる。もちろん前者の理由に一部重なる部分があり、同時にブロガー自身の信頼度も欠かせないが。

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