春物の衣料品が苦戦…2008年3月度のチェーンストアの売上高、前年同月比+1.4%

2008年04月23日 08:00

【日本チェーンストア協会】は4月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年3月度における販売統計速報を発表した。それによると3月は2月同様に春物の衣料品が苦戦したが、食料品全体の動きが良かった事、さらに日曜日が昨年3月と比べて一日多かったことが幸いし、総販売額では前年同月を上回る結果が出た。とりわけ季節のイベント食品がよく売れたようだ(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の75社・8647店舗に対して行われている。店舗数は先月比で9店舗減、前年同月比で139店舗減。売り場面積は前年同月比97.3%と2.7%ほど減っている。先月に続き、店舗数・売り場面積共に減少傾向にあるようだ。

昨今の傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし2月同様に年末で区切りよく閉店した店が多かったからなのか3月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。これは先々月から見られ始めた傾向で、チェーンストアをとりまく環境がこれまでとは違う、ターニングポイントの真っ只中にある(チェーンストアという分野の小売が縮小しつつある)可能性があることを示している。あるいは単純な拡大路線から、戦線の整理統合と効率化を図る方向へ戦略転換をしているのかもしれない。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆0828億4513万円
・食料品部門……構成比:61.5%(前年同月比102.7%、△2.7%)
・衣料品部門……構成比:11.8%(前年同月比97.5%、▲2.5%)
・住関品部門……構成比:20.0%(前年同月比99.6%、▲0.4%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比98.2%、▲1.8%)
・その他…………構成比:6.3%(前年同月比102.2%、△2.2%)


店舗数の減少など
全体的に整理統合は続く。
季節イベントの
食品の動きが良い。

3月は全国で平均気温を上回る温かい日が続いたが、それでも衣料品が苦戦する結果が出ている。この時期は季節の変わり目ということで衣料品にがんばってもらわねばならない時期なだけに、チェーンストア側では少々頭の痛い話。

しかし一方で相場そのものの高騰や食品に対する安全性への期待の高まりから野菜の動きが良く、またひな祭り関係のイベント食品(ちらし寿司、ハマグリ、ひな菓子など)もよく売れ、これが食料品の売り上げを伸ばす要因となった。また、スーパーなどでは「欠かすことのできない食材」がよく買われる傾向があること、それらの食品の価格が上昇したことも売り上げアップの遠因かもしれない。

先月堅調さが見え始めた「家具・インテリア」部門でも、リフォームやイメージ換え、大掃除などで差し替えられることの多いインテリア小物が堅調なくらいで、家具全般はまた不調に戻ってしまった。今月末に発表される新設住宅戸数の指数を先読みしているような雰囲気で、少々不安がよぎる。

・改正建築基準法による
住宅着工の減少影響、再び現る!?
・特売、まとめ買いが出来る
スーパーなどに再び人気が!?

先日発表されたコンビニエンスストアの3月度売り上げは、日にちの関係や天候の陽気さにもかかわらず、全般的に売り上げはさえない結果が出ている。今回のチェーンストアの売り上げが、コンビニの軟調さに比して特に食品面で堅調なことを見ると、お客側の傾向としては「単価が高めに見えるコンビニより、まとめ買いや特売で安く調達できうるチェーンストアにお客の足が向いているのではないか」、お店側では「店舗の絞込みを続け、徹底的な合理主義化を推し進めているのではないか」という雰囲気が見受けられる。

「小売不況」と小売業全般をひとくくりに見ることが多いが、各分野別にお客が持つイメージは異なるため、それぞれ独自の事情と対応策を打ちつつあるのかもしれない。もし上記の仮説が正しいのなら、今後しばらくすればさらにこの傾向は顕著化することだろう。

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