初任給引き上げ3社に1社・2002年以降最高の水準に
2008年04月19日 12:00
労務行政研究所は4月18日、2008年度の新入社員の初任給に関する調査結果【2008年度 新入社員の初任給調査(PDF)】を発表した。それによると速報集計として2008年度に初任給を引き上げた企業は3社に1社(言い換えれば初任給を据え置いた企業は3社に2社)だったことが明らかになった。数年来初任給の据え置き率は8~9割を維持していたが、労働需給の関係が変化し、人材獲得競争が激化しているようすがうかがえる。
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今調査は3月下旬から4月7日にかけて、調査票の郵送と電話取材によって行われたもので、対象は東証一部上場企業1751社やそれに類する12社、うち214社が回答している。
調査結果の概要は次の通り。
・初任給は高卒で16万2241円、大卒で20万4333円。昨年度比で1500円・0.7%、897円・0.6%の上昇。
・初任給の「据え置き」は66.8%,「全学歴引き上げ」は32.7%で3社に1社。
・据え置き率は2002年度以降4年連続で9割超え。企業の新卒採用意欲が昨今高まりつつある。
・人材不足が深刻な製造業で引き上げ率が高い。
・引き上げた場合の引き上げ額平均は高卒が2074円、短大が2422円、大卒が3458円、大学院が3177円。中には大卒で3万1000円引き上げたところも。
2008年度速報値における初任給の据え置き・引き上げの度合い
初任給据え置き率の推移(一部据え置き含む)(※「その他」は引き下げなどと思われる)
→人材確保のため
初任給引き上げの傾向
単純な人材不足以外に、人件費の削減がもてはやされた2000年以降において、正社員の雇用の自粛や低迷と共に初任給も据え置かれる傾向が強かったのは、上記図表からもお分かりの通り。しかし契約社員・アルバイトなどへの労働条件の改善が社会的に叫ばれるようになる(=非正社員のメリットが薄れる)と共に、技術継承や忠誠心など正社員の利点が見直されるようになった。労働環境の整備やアピールなど、人材確保のための勧誘方法はさまざまだが、もっとも簡単でダイレクトなのが初任給の引き上げによる雇用条件の改善。
データを見る限り、非正規社員から正社員への企業の関心のスライド(初任給の引き上げ=雇用体系の見直し)は2006年から起きているものと思われる。1998年の30.3%や1999年以降の60%台と比べれば「初任給据え置き」の度合いはまだ高めではあるが、一時期と比べればかなり改善されていることが把握できよう。
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