今調査の概要は、月次展開一覧を収録したページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】で説明している。そちらで確認のこと。

各データについて前年同月比は次のようになる。

3月は例年に比べると移動性高気圧の影響で晴れる日が多く、来店者数増加が望める状況ではあったのだが既存店ベースではマイナスに転じてしまう。単価の低迷は相変わらずで、普段ならその分を客数増加で補い売り上げを底上げするパターンだったのだが、今月は(既存店ベースでは)それもかなわなかった。天候が良いのに来客数が少ない理由はデータからだけでは判別できないが、あるいはガソリン料金値上げによる自動車での外出が控えられたことが一因かもしれない。

また、気候の状態やガソリンの価格高騰を別にしても、全般的な漸減状態は継続していることが分かる。既存店の軟調さを新装開店の店舗の勢いでどうにか支えている状況に変わりは無い。とりわけ既存店の客単価下落が止まらないのがもっとも気になるところ。

コンビニでもっとも大きな売り上げ割合を占め、企業毎の個性を持たせることができ、客に対する魅力をアピールできるのは日配・加工を合わせた食品に他ならない。中でも流動性が高く、新鮮さと特徴を出して客引きも出来る商品である「お弁当」の不調が続いていることは、所属する日配食品分野はもちろんコンビニ全体の不調の一因とみなしてよいだろう。

メガシリーズやミニサイズ、地方の特産品とのタイアップなどさまざまな企画を展開しているにもかかわらずお弁当の売り上げが伸びないのは、「お客が買うお弁当の単価自身が下がった」「お客のコンビニ弁当離れ」(いずれも遠因としてお客の購買力低下)などを起因としているのだろう。また食の安全が強く求められるようになり、この面では今ひとつという印象の強いコンビニ弁当を敬遠する動きもあるのかもしれない(外食産業で中食部門が伸びているのも、それを裏付ける材料となる)。

食の安全性については企画の面から新たな手を打つか、広報宣伝活動で誠実に訴えかけていくしかない。また、客の購買力の低下はコンビニ側では手のうちようがないので、「高いから買わない」ではなくせめて「安いのを買う」ようにしてもらい、客の足を引き止める努力が求められよう。同時に利益率の高い商品(例えば中華まんじゅうやおでんのような「レジ前商品」)の積極展開も考慮すべき。

4月から始まった食品の値上げラッシュは留まるところを知らず、今後も継続した値上げが予想される。一部商品の単価が上がっているにもかかわらず客単価が落ちているのは、「高いから買わない」とする客が増えた証拠でもある。このまま手を打たないと「高いから買わない」ではなく「高いからコンビニへは行かない」にスライドし、購入機会すら失われてしまいかねない。コミュニティ化の促進などアイディアを練りこみ、足を運んでくれるような工夫を施す努力もコンビニ側に求められるに違いない。

なお4月から過去データについては(他の産業月次レポート同様に)まとめページにリンク集を掲載することになった。過去のデータは【まとめページ】からたどってほしい。