発電コストは1/4! レンズを用いた高性能太陽光発電ユニット「SUNRGI」、来年にも実用化へ

2008年04月30日 12:00

SUNRGIイメージ【USA TODAY】が伝えるところによると、シリコンバレーのベンチャー企業SUNRGI社が開発中の太陽光電池「SUNRGI」の開発が順調に進んでおり、この一年のうちに火力発電などによる電力費用に引けをとらないローコストでの発電が可能になるとの見通しが明らかになった。同社のレンズを用いた「concentrated photovoltaic(集中光起電性)」システムと呼ばれる仕組みによるものだという。

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「concentrated photovoltaic」システムを用いたSUNRGI社の太陽光発電ユニット
「concentrated photovoltaic」システムを用いたSUNRGI社の太陽光発電ユニット

アメリカでは慢性的なエネルギー不足から太陽光・太陽熱発電による電力供給体制の強化が叫ばれ、関連産業への投資が盛んに行われている。これまで世間一般に広まっている太陽光電池の発電コストは1Kwhあたり0.2~0.3ドル(21円~32円)、比較までに日本の電力料金は1Kwhあたり20円強。多くの企業のプロジェクトでは2010年までに1Kwhあたり0.1~0.18ドル、2015年までに0.05~0.10ドルのコストを目指しているとのこと。

肝心のSUNRGIの電力生産コストだが、元記事では同社の幹部のひとりが「2009年中ごろまでに1Kwhあたり0.07ドル(約8円)で発電できるものを作る」とコメントしている。またSUNRGIのトップページには「1Kwhあたり0.05ドル(約6円)を目指す」とある。SUNRGI社のユニットがいかに「飛び越えた」性能であり、業界に大きなインパクトを与えているかが分かるの。

なおSUNRGI社の太陽光発電ユニットは当初は商業ベース(例えば工場や公共団体)向けに提供されるが、3年以内に販売専用の会社を設立し、一般需要向けに販売するとのこと。

太陽光発電は光起電力効果(物質に太陽光などの光をあてることで光子が電子とぶつかるなどして起電力が発生する現象)によって電力を発するものだが、レンズによる集光とゲルマニウム製の特製半導体の利用などにより、従来のものより効率を高めることができるという。また、生産コストを落とすため、工場を新設するのではなく、従来の半導体やパソコン工場で製造するとのこと。

集光システム(公式サイトから)
集光システム(公式サイトから)

今回の試算、つまり2009年には量産・市販ベースへの展開という「見通し」は、大量生産におけるハードル(少数生産時には発生し得ない誤差の問題や、仕組みが量産に耐えられるものかどうかなど)を考慮すると難しいかもしれない。しかしあるアナリストは元記事の中で「半導体市場の動向は電力関連の技術よりも先んじている。(The semiconductor market moves much more quickly than power technologies.)」と述べ、半導体市場の動向や太陽光発電のニーズの高まりが技術の促進を後押ししてくれると期待も込めたコメントを発している。

SUNRGI社の公式サイト内【Q&Aページ】を読むと、「海外での使用も可能」「二酸化炭素を発しないので地球環境にやさしい」「シリコン不足が心配されているが、SUNRGI社のユニットはシリコンを必要とないので、その心配も無用」などとある。

果たして続報が「見通しが延期されました」となるのか「予定通り市場への供給をスタートできました。性能も試算通りです」となるのか。他の太陽光発電に関する開発話と並び、注目したいところだ。


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