ゆうちょ銀行の貯金「1000万円上限」の撤廃を要望

2008年04月02日 19:40

預貯金イメージ日本郵政グループの銀行部門会社であるゆうちょ銀行は4月1日、民間の銀行において普通預金に該当する「通常貯金」などについて、現行の「一人最大1000万円」の預け入れ枠(総額制限の額)の撤廃を政府(金融庁長官、総務大臣及び内閣官房郵政民営化推進室長)に要望したことを発表した。これを受けて金融庁や総務省では政令改正を行うかどうかについて検討する(【発表リリース】)。

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[現行の通常貯金]
給与や不意の収入で
1000万円を超えると
面倒なことに

[要望]
限度額撤廃

[理想]
お客の利便性が高まり
通常貯金口座を
多くの人に使ってもらえる

リリースによると通常貯金をはじめとした流動性預金は顧客の生活口座として残高がが日々、あるいは月々増減を繰り返すもの。このような特性から、お給料や年金の振込みなど、管理外・予想外の入金があった場合限度額の超過が発生し面倒なこと(枠を超えると国債への買い替えを余儀なくされる場合もある。参考:【郵便局の貯金、1000万円超えている分は「国債自動購入」へ】)がゆうちょ銀行・顧客双方に発生しているため。

仮に今回の要請通り限度額が撤廃されれば「通常貯金」で多額の資金管理が出来るようになり、顧客の利便性向上につながる。また、リリースにはないが昨今の貯金残高の減少傾向にも歯止めをかけることができる。

しかし上記参考記事にもあるように、ゆうちょ銀行に対しては他の一般民間銀行から「あまりにもアドバンテージがあるというのに、さらに限度額撤廃をされたら自分達の業務が圧迫される」など、反発の意見も大きい。そこでリリースでは「流動性預金」と限定し、定額貯金などの定期性預金では現行の「合算して1000万円の上限」のままでよい、としている。

ただし通常貯金の限度額が撤廃された場合、預金保護の上限を「元本1000万円と利子」とするペイオフ(預金保護)の対象外となりうる。便宜性は高まるがその分「何かあった時」のリスクも大きくなる。

また同じ日本郵政グループの保険会社であるかんぽ生命保険も1日、政府に対して保険加入から一定期間経過した場合における限度額規制の政令(現行は1000万円、5年後から300万円をプラスできる)を改正し、上乗せ部分を1000万円に上げるよう求めた(【発表リリース】)。

両社とも要望の中で「将来上場するためには市場の評価が必要。そのためにはお客のニーズに応えねばならない」と繰り返し述べている。他の銀行からの反発の度合いにもよるが、日本郵政グループの上場を果たしたい政府側としても、今回の要望は飲む方向で話が進むものと思われる。


■関連記事:
【「郵便局の民営化」で何が変わる? (1)そもそも郵政民営化とは】


(最終更新:2013/08/09)

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