やっぱり「元本割れは怖い」……銀行などで投信が選ばれないワケ

2008年03月21日 06:30

株式イメージgooリサーチが3月14日に発表した調査結果によると、銀行や信用金庫などで販売されるようになった投資信託などの金融商品について、購入する気がないと回答した人の半数が「リスク商品には興味が無い」ことを理由として挙げていることが明らかになった。販売・説明機会は増えても、商品そのものの特性や投資信託そのものの考え方、販売元の誠実さ、そして市場環境そのものにも問題がありそうだ(【発表リリース】)。

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今調査は2月下旬にインターネット経由で実施され、30歳以上の社会人1093人が回答した。具体的な年齢階層や男女比などは公開されていない。

法律の改正で2007年12月から銀行窓口でも保険商品の販売が解禁された。銀行や信金でも投資信託や保険の勧誘を受け、購入することが可能になったわけである。それを踏まえての調査結果だが、主に次のようなデータが導き出されている。

・銀行などで保険商品や投信を買った経験がある人は15%
・年を経るごとに銀行で保険や投信を買った人は増えていく。70代以上では4割近く
・購入した金融機関は都市銀行がもっとも多い。
・窓口で、あるいは行員などの訪問勧誘がきっかけで購入した。


今年に入ってから急激に増えた、銀行の窓口などでの金融商品の勧誘キャンペーンはある程度功を奏しているようだ。

一方で、これらの投信や保険にまったく興味のない人も多い。

銀行や信金などで保険商品や投資信託を購入した経験があるか
銀行や信金などで保険商品や投資信託を購入した経験があるか

経験が無く、購入するつもりもない人が全体の2/3を占めた。購入したことがある人が15%なのだから、逆算すると「無い人」は85%。ある程度この結果は予想が出来たが、85%の購入経験が無い人のうち65%分までもが「購入する気が無い」と消極的な意見を持っていることは少々悲しいお話。

ではなぜ「購入するつもりが無い」のか。保険と投信でそれぞれもっとも大きな理由は「これ以上保険を追加する必要は無い」「元本割れの可能性があるのなら興味は無い」だった。

銀行や信金で保険や投信を購入する気がない理由
銀行や信金で保険や投信を購入する気がない理由

勧誘に触れる機会、購入できる窓口が増えたことは、保険や投信への認知度を高める上でプラスになることは間違いない。しかし保険では「もう十分な保険に入っている。これ以上入る必要は無いから窓口が増えても意味が無い」、投信では「銀行預金と違い、元本割れの可能性があるリスク商品には興味が無い」という意見が相当数を占めている。これらの考えが「触れる機会が増えても購入する気が無い」に結びついている。


リスクを回避するという考え方は、一つの方法論としてまったく正しい。ましてや【株式投信販売額、3年ぶりの低水準に】にあるように株価は低迷を続け投資信託の営業成績もかんばしくない中で、投信を買ってくださいとお願いしても首を縦に振らないのは納得せざるを得ない。銀行や信金は基本的に「リスクが無い(非常に低い)」ものの取り扱いを行なっているという前提で足を運ぶもの。そこで「元本割れの可能性があります」「リスクがあります」と言われても驚くばかりで、積極的に手を出す人が少ないのは当然のことといえよう。

一方、保険商品を断る理由「追加して入る必要が無い」は仕方の無い話。しかし本人がそう思っているだけで、実は既存加入している保険に穴があったり、重複項目があり余分な保険に入っていて、整理統合することで効率的な保険の加入ができるかもしれない。窓口で販売している「その場で販売している保険の説明員」だけではなく、総合的な顧客の保険見直しをするアドバイザー(FPなど)が口ぞえすることで、よりよい保険への切り替えをお勧めできるかもしれない。

銀行や信金の窓口での金融商品販売においては、保険なら「単なる販売ではなく総合的な保険の見直しへのススメ」が求められよう。しかし投信の場合は「株価回復による投信の成績向上」を待たねばならないようだ。

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