個人投資家が魅力を感じる配当利回りはX.X%
2008年03月08日 19:00
【野村證券(8604)】の金融経済研究所は3月5日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年3月発表分、PDF】)。それによると個人投資家が株式投資において魅力的と感じ、かつ企業が支払えると思える(つまり現実的な)配当利回りは「2.0%以上2.5%未満」と答えた人がもっとも多かった。
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●希望平均値は2.3%
今調査は1000件を対象に2月25日から26日に行われたもので、男女比は68.8対31.2。年齢層は40歳代がもっとも多く33.4%、ついで30歳代が25.4%、50歳代が22.5%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く26.0%、ついで500万円~1000万円が18.3%、200万円未満が20.0%と続いている。
1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く26.3%を占めている。次いで1年から2年未満が23.6%、6か月から1年未満が13.2%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く49.4%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が25.5%となっている。今調査においては「中長期投資をメインとし、キャピタルゲインを第一に望むが配当への魅力も捨てがたい」と考えている層が多いことを前提に見る必要がある。
まずは具体的な投票結果。「2.0%以上2.5%未満」がもっとも多く26.1%を占めている。
魅力的かつ現実的な配当利回り
ちなみにすべての階層でその投票数と中間値(「4%以上」は4.5%で計算)を元に平均値を算出したところ、約2.3%という値が出た。最多得票の階層とも一致しており、このくらいの配当利回りを求めていることが分かる。
●国債や東証一部の実情との比較
なお株式の配当利回りを算出する際によく比較対象に挙げられるのが国債の利回り。要は「配当利回りを前提に株式に投資するのなら、最低でもリスクがほぼゼロに等しい国債よりは高利回りでないと無意味」という考え方。配当を気にして株式に投資するのに、国債よりも利回りが下ならば、いっそのこと国債に投資したほうがマシということだ。リスク分だけ利回りが上乗せされないと、配当重視の投資家は魅力を感じない。
日本で個人が買える個人向け国債は変動利回り10年物と固定利回り5年物の二種類がよく知られている。【最新データ】では固定5年ものが0.81%(税引き後0.648%)なので、少なくともこれ以上の利回りが求められることになる。
現在東証一部上場企業の配当利回り平均は1.75%(3月7日終値で計算)。株価が低迷していることと、以前と比べると配当性向がかさ上げされる傾向にあることから、それなりな値を示しているものの、いまだ2.3%には届いていない。「配当利回りで個人投資家を増やしたい」と考えている企業には、最低でもこのラインは超えて配当を出せるよう、さまざまな方面で努力が求められよう。
●高配当銘柄を「配当を生み出す資本」として考える手法
ちなみに購入時の配当利回りが高くとも、その後さまざまな事情で配当が減らされたり無配に転じれば、利回りは悪くなる。逆に考えれば「仮に」株価が下がっても、その株の購入時点での利回りが高いままでずっと維持されれば(つまり配当が横ばいか増配を継続すれば)、資本価値(担保)は下がるので気分はあまりよくないが、「配当を生み出す資本」としての価値は維持できることになる。
先に【不況からあなたのお金を守る5つの方法(日本版)】で触れたように、過去数十年に渡って減配の経歴がない、業績が比較的安定している(あるいは特殊な株主構成上の事情で高配当が半ば義務付けられている)銘柄を選択することで、「配当を生み出す資本」としての長期株式保有が実現することになる。もちろん機会がある毎にチェックを入れねばならないのは言うまでも無い。
逆に、デイトレーディングや短期間のスイングトレーディングなど、純粋にキャピタルゲイン(株式の売却益)のみを考慮する投資手法の場合には、利回りは考慮に入れる必要はない。ただし自分が売買している銘柄が配当を出していた場合、その銘柄に手を出しているのは、利回り無視派だけでなく中長期の・配当を考慮している投資家もいることに気をつけねばならない。
減配すれば悪材料として売り込まれるし、復配・増配すれば好材料として買いが殺到する。自分自身は配当の権利確保を無視して売買していたとしても、配当の動向が株価に大きな影響を与える以上、配当利回りや配当の動向には気を配った方が良いだろう。もっとも完全なデイトレの場合はそれすらも無視できるが。
(最終更新:2013/08/10)
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