大豆などのイソフラボンが乳がんを抑える働き!? 厚生労働省研究班発表
2008年03月08日 12:00
【JPHC Study(厚生労働省研究班による多目的コホート研究)】は3月7日、イソフラボンと乳がんに関する研究レポート内において、日常生活において適量の大豆製品をよく食べる女性は、乳がんになる可能性が低いという調査結果を明らかにした。2年ほど前に過剰摂取はひかえるようにとの報告が行なわれた大豆のイソフラボンだが、適量の摂取なら身体によいことがまた一つ裏付けられたようだ(【発表リリース】)。
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イソフラボンは大豆などに多く含まれ、乳がんや骨粗しょう症などの予防効果があるとされ2年ほど前には積極的な摂取がうたわれていた。しかし同時に生殖機能などへの影響も指摘され、食品安全委員会では、トクホとして日常の食事に上乗せして摂取する場合の上限値を1日30ミリグラムまでと決定している(大豆イソフラボンそのものの安全な一日摂取目安量上限値は70から75ミリグラム)。さらに妊婦と15歳未満の子供については「トクホとしての摂取は推奨できない」としている。
研究グループでは2002年まで追跡した40~69歳の女性約2万5000人の調査データの中から、乳がんになった人144人と、その人それぞれに条件が似通っている人2人を無作為に選んだ計432人の保存血液を用い、イソフラボン(ゲニステインとダイゼイン)の濃度を測定した。
その結果、ダイゼインの濃度と乳がんとの関係は見られなかったものの、ゲニステインとの関係においては、もっとも低濃度のグループに比べて高濃度のグループは乳がんリスクが約三分の一に留まっているという結果が出た。
血中イソフラボンのうちゲニステイン濃度と乳がんリスク
今調査におけるイソフラボンの高濃度のグループは、一日の摂取量に換算すると46.5ミリグラムに相当する。これは豆腐なら100~150グラム(半丁)、きな粉なら20グラム、納豆なら1パック60グラム程度に相当する(【参考:山口屋穀粉】)。
イソフラボンは「植物エストロゲン」とも呼ばれ、構造が女性ホルモンに類似し、エストロゲン受容体に結合するため、乳がんに予防的に働くと考えられている。中でもゲニステインは結合力が強く効力が長期間期待できるため、効果がはっきりと現れたものと見られている。
研究グループでは「イソフラボンを接種すると乳がんのリスクを上げるのではないかという説もあるが、食事から接種する範囲ならば乳がんのリスク上昇は考えにくい。むしろ適量ならば下げる可能性が示唆された」と示すと共に、摂取の量や時期との関係、さらにサプリメントの影響はどうなのかについて今後の課題としたいと述べている。
人間の身体はうまくできているのもので、「過ぎたるは及ばざるが如し」を地でいっているようだ。少なくとも適量を食事で取る分にはプラスに働く、ということなのだろう。
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(最終更新:2013/08/10)
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