従来四大メディアとポータルサイトの利用度大幅に低下・動画投稿サイトが大きな勢力に
2008年03月04日 12:00
ヤフーバリューインサイトは2月29日、情報メディアに関する自主調査の結果を発表した。それによると1年前と比べて従来型四大メディアと呼ばれる「テレビ」「新聞」「雑誌」「ラジオ」の利用度は軒並み低下し、従来もっとも信用のおけるメディアであるはずの「テレビ」「新聞」の信用度も落ちていることが明らかになった。一方でウェブ系メディアにおいては「Q&Aサイト」「動画共有サービス(動画投稿サイト)」の存在感が増しているなど、昨今のインターネット事情を反映した結果も導き出されている(【発表ページ】)。
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今調査は2007年12月7日から10日までの間にネット経由で行なわれたもので、有効回答数は1000。男女比率は非公開。年齢階層比は10歳刻み(10代は15~19歳)で均等割付。なお「前回調査」は2006年11月15日~17日にかけて行なわれている。また、ネット経由での調査のため、世間一般の傾向と比べてややネット関係のデータが有利になる傾向を前提にデータを見る必要がある。
今調査結果では
・自分の情報を他人に提供したい……ブログやSNS
・他人から情報を得たい……掲示板やQ&Aサイトや動画共有サービス
・目的を持たず、何か面白い情報を探したい……動画共有サービス
と、CGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)の使い分けがたくみに行なわれている傾向があるなど非常に興味深いデータが提示されている。
今回はそれらのデータの中から、各種メディアがこの1年でどのようにその見られ方(ポジション)を変化させたかについて見てみることにする。1年前(前回)の調査と比較するとまったく同じ調査条件ではなく、「前回ではQ&Aメディアには『ウィキペディア』が入ることは明記されていないが今回は明記している」「今回から『動画共有サービス』『3Dリアルタイム仮想世界』の2項目が追加されている」の違いなどがあるが、それを差し引いてもかなり大きな「ポジション・スライド」がおきているのが分かる。
前回調査における情報メディアのポジション
今回調査における情報メディアのポジション
少々分かりにくいので図の読み方について解説すると、
・各円はそれぞれのメディアを表し、円の大きさは「今後の利用意向」を表現する。大きい円ほど「今後たくさん使われる」可能性が高い。
・縦軸は利用度合、横軸は信用度合を示す。円の中心部分が縦横軸のクロスした、つまりそのメディアの利用及び信用度の位置。
・円の上下関係(重なっている部分)は何の関係も無い。
といったところ。例えば今回調査における「一般掲示板」は、「SNS」と比べると利用度はほぼ同じものの信用度はやや低め、そして今後の利用度もいくぶん少なめ、ということになる。
今回の調査結果を見ると、
・Q&Aサイトの躍進ぶり
・新規参入項目のうち「動画共有サービス」が占める位置が非常に大きい。今後の利用度合ではすでにテレビや新聞などを抜いている。
・「3Dリアルタイム仮想世界」はそれなりに認知されているが利用度、今後の利用度合いは共に低い
・従来四大メディア、特に「テレビ」「新聞」の利用度や信用度はいまだに高い傾向にある
などが見て取れる。ただし今回調査だけでは状況の変化をつかみとることができないので、前回調査からの変化を簡単にまとめてみることにする。大まかに見て、増えたら赤矢印、減ったら青矢印、変わらずなら緑矢印という具合だ。
四大メディアの1年経過による利用・信用・今後の利用度合の変化
まずは従来四大メディア。今後の利用意向では新聞やラジオが検討しているが、それ以外はほぼ縮小傾向。特に「テレビ」「新聞」の大手二メディアでは、利用度・信用度共に大きな減少傾向が見られる。
サイトサービスや法人サイトなどの1年経過による利用・信用・今後の利用度合の変化
続いて各種サイトサービスや法人系の情報提供サイトなど。これらは「ポータルサイト」「企業サイト」の利用度が低下している以外はほぼ横ばい。特に「ポータルサイト」の利用度の減少が目立つ。
CGM系サイトサービスの1年経過による利用・信用・今後の利用度合の変化
最後にCGM系サイトサービスなどの変化。「特定カテゴリ掲示板」や「個人ブログ」は利用頻度が低下しているが、その他はほぼ横ばい。唯一気を吐いているのが「Q&Aサイト」。信用度に変化はないものの、利用度、今後の利用意向共に上昇中で、今年2008年においても大いに注目を集めるものと思われる。
また前年の項目が無かったので1年経過による変化を提示できなかったが、前述したように「動画共有サービス」は期待できるだけの数字を出している新項目として注目される。他メディアと比較すれば利用度・信用度共に低めだが、今後の利用意向は極めて高く、来年においてはさらに躍進する結果が出るものと予想できる。
繰り返しになるが今調査はネット経由によるもの。ネットユーザーが従来四大メディアへの注力を減らすのはある意味当然だから、今回のような調査結果が出るのも仕方ないのかもしれない。ただしインターネットが現状のように多数の人に対して普及している今現在、「ネット利用者を完全な特異パターン」と断じるのも、少々無理がある。
例えば「ポータルサイト」のような、「今後の利用意向」が大きな情報メディアは利用度・信用度の上下を問わず今年も大きな影響力を持ち続けよう。また、利用度や信用度が高いメディアはそれだけで価値あるものとして認識されるので、今現在「今後の利用意向」が低めと評価されていたとしても、存在価値そのものは維持し続けるに違いない。
しかし信用度や利用度の低い情報メディアは、その他の必然性が無ければ自然に利用意向度も減ってしまう。そのような傾向が見られるところは、失われつつあるものを取り戻す「ポジティブな変化」を求められていると考えるべきだろう。
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