ANAが三菱重工の国産ジェット機MRJの25機購入正式決定

2008年03月28日 06:30

MRJイメージ【全日本空輸(ANA)(9202)】は3月27日、【三菱重工業(7011)】が開発を計画している小型ジェット機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet、三菱リージョナルジェット)」について、開発が決定した場合これを導入することを確定、その旨を公開した。具体的には将来の小型機戦略機種として合計25機(うち10機オプション)を発注するという。選定理由は「経済性が高く、快適性に優れている」からとのこと。さらに今後のMRJ開発計画に積極的に参画し、お客のニーズをMRJに反映させていくことも明らかにしている(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

ANAが計画しているANA仕様のMRJ「MRJ90」
ANAが計画しているANA仕様のMRJ「MRJ90」

MRJとは先に【三菱重工業(7011)、YS-11以来の日本国産ジェット機の概要を発表】でお伝えしたように、三菱重工業と国が共同で開発を検討している国産ジェット機。【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)】の助成事業として2003年から研究開発を進めている、最高レベルの経済性と快適性を兼ね備えた最新鋭の旅客機で、70人~90人乗りの小型ジェット機となる予定。全長は35.8メートル、翼長30.9メートル、全高10.0メートル。地域便向けの機体(リージョナル機)で、複合材の使用による軽量化や新型エンジンを搭載。燃費の大幅な低減を実現し、収益性の向上に貢献しているという。

リリースによればANAがMRJを正式に採用した理由は、次の条件を満たしていたからとのこと。

[1]小型ジェット機とプロップ機の中間機種で国内線仕様では90~100席程度クラスであること。
[2]現行小型ジェット機やプロップ機を凌ぐ信頼性・経済性・快適性が確保できること。
[3]中長期的に国内線事業で需給適合に見合った機種構成が可能となること。


MRJでは新型エンジンや最先端の空力設計などで燃料消費量が現行機(ボーイング737-500やDHC8-400)と比べて4割ほど改善(737-500を15機で運用した場合と比較)。客室の快適性や環境負荷の低減も実現。条件にマッチしているという。さらにMRJの導入で増収やコスト削減も期待でき、現行機と比べて年間50億円ほどの収支改善すら見込めるとのこと。

ANAが計画している機種構成の図
ANAが計画している機種構成の図

今回ANAが正式発注を発表したことで、三菱重工業側では今日28日にも事業化を正式決定する見込み。決定が行なわれれば「民間旅客機の国産化」が適うことになり、YS-11型機以来の国産旅客機の開発となる。[ホンダ(7267)]が現在開発している【小型ビジネスジェット機】と共に、さまざまな方面で注目を集めることは間違いない。

MRJについてはここ数週間ほどの間、ANAだけでなく日本の旅客会社においてANAと並ぶ【日本航空(JAL)(9205)】や諸外国から発注・三菱重工業側の開発正式スタートの話が相次いで報じられていた。しかしあくまでも非公式のレベルのものであり、三菱重工業側では一切正式なコメントを発していない。今回正式にANAが発注を発表したことで、正式にゴーサインが出て、MRJのラインが動き出すことは確実。そうなれば他社も追随する可能性は高く、一挙にMRJへの正式注文が殺到する可能性すらある。

今後しばらくはMRJに関する話題で、航空業界はにぎやかになることだろう。


■関連記事:
三菱重工、国産ジェット機MRJの事業化を決定・事業会社「三菱航空機株式会社」を立ち上げへ(2008/03/29)】

(最終更新:2013/08/09)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ