9割が「年金に不安」でも「個人年金に加入」は3割

2008年03月03日 06:30

年金イメージマイボイスコムが発表した調査結果によると、現在の公的年金制度に不安を抱えている人は全体の9割に登ることが明らかになった。その一方で、公的年金以外に個別に契約を結ぶ個人年金に加入している人は3割に留まっている。「公的年金は不安」だが、自分でそれを補てんする手立ての有効手段の一つ「個人年金」があまり活かされていないようである(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

将来への備えは「貯金」「保険」そして「個人年金」

当調査は2月1日から5日の間にインターネット経由で行なわれたもので総回答者数は1万5273人。男女比は46対54で年齢階層比は30代36%・40代28%など。

別機関の調査になるが先に【あなた、貯金してます? 20代の8割が「毎月貯金」】にもあるように日本人の貯蓄性向はいまだに高く、年齢を経るに連れ「老後の備え」としての役割の割合も高くなる。今調査でも「老後の備え」としては「個人で貯蓄」と回答した人が一番多かった。

老後の備えのために何をしているか(複数回答)
老後の備えのために何をしているか(複数回答)

上位を占めている選択肢は、主に「まさか」の時のための備え(保険)、手持ち資金の利殖、財産の保有の3カテゴリに分類できる。まずは「流動性の高い現金を溜め込み」「ケガや病気のために保険に入り」、そしてその次に「公的年金では今ひとつ不安だから個人年金にも入っておこうか」という順番になるようだ。

公的年金制度は最近こそやや報道も下火になったが、元々資金不足が叫ばれていたものの、実はそれを運用管理する社会保険庁(内自治労)の体たらくが問題の主要因だったことが明らかになり、信用そのものが失われつつある。しかし「ノド元過ぎれば」なのか、単にあまりにも多すぎる問題点の報道に慣れてしまったからなのか、2005年以降調査回数を重ねるごとに「不安」を感じる人は減る傾向にある。

将来の公的年金の受け取りに不安を感じているか
将来の公的年金の受け取りに不安を感じているか

不安要素としては「制度そのものへの疑問」の他に「受取額が今より少なくなる」「現政策に疑問」など、現状をしっかりと認識した上で不安を感じている人が多い。一方で「受取額で生活していけるか分からない」「受け取れる金額が分からない」など、情報不足を感じさせる声も少なくない。

個人年金、加入度はまだ3割

公的年金が安全で十分な額なら、老後の備えの貯金や個人年金は必要ない。不安で全面的に信用するわけにはいかないので、貯金をしたり個人年金にも加入することになる。

貯金は流動性が高く汎用性の高い手段である。他方個人年金は一言で例えると民間ベースの「年金」と「保険」を足して二で割ったような金融商品。流動性やリスクにおけるマイナス点があるものの、各種税制上の優遇措置を得られるなどのメリットも多い。

しかし実際に今現在個人年金に加入している人は全体の3割程度でしかない。

個人年金に加入しているか
個人年金に加入しているか

選択肢の中に「加入していないが加入を検討している」が無いので一概には言えないが、加入を止めてしまった人が1割近くいるところを見ると、個人年金の加入率が増えているわけではないようだ。実際、全体のうち「加入したい」と考えている人は「現在加入しているが内容を変更したい」とあわせても3割程度でしかなく、「加入するつもりはない」と断じている人と比率的にあまり変わらない結果が出ている。

個人年金のプランを変更、あるいは新規加入の意向はあるか
個人年金のプランを変更、あるいは新規加入の意向はあるか

ただし、「分からない」とする意見も3割いるなど、情報そのものや啓蒙不足が感じられる面も多い。


預貯金で将来まったく問題なく暮らせると断じることが出来る場合や、自身の運用に自信を持つ人なら、個人年金の必要は無い。

但し個人年金は公的年金と比べれば企業そのものの財務上の問題やリスクなどはあるものの、課税繰り延べ効果をはじめ生命保険控除、さらには相続時の非課税枠適用など税制上のメリットも多い。企業によってはさまざまなフォローサービスを用意しており、それを活用するチャンスも得られる。「使える税制優遇措置はとことん活用しよう」と考えている人、自分ひとりでは不安な人は、活用してみるのも一つの手といえよう。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ