「中国製品に懸念」8割に及ぶ・民間企業が回答
2008年03月06日 07:00
帝国データバンクは3月5日、民間企業を対象とした中国製品やサービスに関する企業の意識調査結果を発表した。それによると全体では6割、取引のある企業では8割が、中国の製品やサービスの品質に「懸念がある」と回答していることが明らかになった(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2月20日から3月2日までの間、全国の2万0887社に対してインターネット経由で行なわれたもの。有効回答企業数は1万0066社。うち4080社が中国と取引があると回答している。
●8割が「品質に懸念」
中国製品やサービスの品質に対する懸念については、全体では60.9%、実際に取引をしている企業では79.8%が感じていると回答している。経験・体験をしている企業の方が懸念感が強いのがわかる。
中国製品・サービスの品質への懸念
具体的な意見としては「サンプルは良いが量産にはいると全く別のものがくることもある」とする一方、「価格に見合った技術・品質」という意見もある。業種別では「農林水産」(71.4%)「製造」(66.4%)などが高水準となり、実際に取引の機会が多い業界ほど懸念の割合も高いのがうかがえる。
品質以外では「安全性」(74.8%)や「商習慣の違い」(61.0%)、「中国政府の対応」(59.0%)、「知的財産権などの権利関係」(54.4%)などが懸念事項の上位として挙げられている。逆に「信頼できる」という点は「価格」がある程度高い位で、残りはすべて1ケタ台のパーセンテージしか得られていない。
品質以外の懸念と信頼(複数回答)
具体的な意見としては「こちら側のチェック機能さえ働いていれば問題なし」という回答もある一方、半ばあきらめ気味な回答も多く寄せられている。
●4社に1社が「中国以外への新興国への切り替え」を視野
直上の具体的意見にもあるように、中国製品やサービスへの懸念に対する対応策としては「チェック体制の強化」がもっとも多く55.1%と回答している。一方で、「今後の」検討対応策としては「他の新興国への切り替え」「日本国内製品への切り替え」など、中国離れを意図する意見も多く見受けられた。
懸念への「現在」「今後検討する」対応策
この調査結果を読みかえると、
・現状
……チェック体制の強化:55.1%
……他国への切り替え:32.2%
・将来検討
……他国への切り替え:45.4%
……チェック体制の強化:22.9%
となり、「現状はチェックを厳しくすることで対応するが、将来は他の新興国や日本国内への切り替えを模索する」という考えが企業に浸透しつつあることが分かる。また「国内製品を重視」には、それに類する「内製化」は別項目として計算されており、これを含めると(「現状」11.6%、「将来検討」14.2%)「中国離れ」の動きはさらに加速しているようにも見える。
具体的な意見としては「価格は○だが他の面では信頼できないので他国製品に転換」「過剰に反応や拒否をするのではなく、自分で確かめて自己防衛する意識向上が必要」とする意見もあった。
諸外国における中国製品に関するさまざまな報道、さらに昨年から相次ぐ食品の安全性やそれへの中国政府・企業の対応を受けて、食品だけでなく他の製品においても、「中国産」への関心が高まっている。「他の新興国」については今調査では具体的な国名は挙げられていないが、【10年後に有望な企業進出先は「インド」がトップ】によればインドやロシア、ベトナムなどが上位にくるものと想像される。
リリースにも記載されているが、対中国だけでなく他のすべての外国、さらには国内においても、「先方とのコミュニケーションの強化」などを通じ、「日本(国民、経済、市場)への信頼感をより高めること」が求められよう。相手のことをよく調べ、その調査結果・情報を元に「戦略的撤退」を含めた適切な対応策を俊敏に行なうことが欠かせないものと思われる。
(c)TEIKOKU DATABANK,LTD.2008
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