パソコン5割、携帯ゲーム機6割、携帯電話は4割強~昨今の子ども事情
2008年03月24日 06:30
【ベネッセコーポレーション(9783)】は3月21日、首都圏で小中学生の子どもを持つ母親に対して行なった、しつけや教育に関する意識・実態調査「子育て生活基本調査」の結果を発表した。それによると自宅でのパソコンの使用率は小中学生全体で5割強、携帯ゲームは6割強に登っていることが明らかになった。特に携帯ゲーム機は小学生の方が使用頻度が高い傾向にあるなど、興味深い結果が出ている。また、5年前と比べて小中学生の携帯電話所有率がほぼ倍増しているなど、携帯電話の急速な普及状況も見て取れる(【発表リリース】)。
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今調査は首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)の小学生・中学生の子どもをもつ保護者を対象に、学校経由による質問紙を用いて行なわれたもので、1998・2002年に続き今回発表された2007年9月のもので三回目。回答数は今回が7282名分(過去二回も4718名・6512名と比較的多い)。子どもの学年別構成比は中学が3127人分、小学が4055人分。
●小中学生はパソコンもケータイも積極利用・中学になるとパソコン中心!?
2007年における自宅でのパソコンの使用頻度については、全体で5割程度が「積極的に使っている」と答えている。
パソコンの使用頻度
全般的に年齢が上がるほど利用頻度が高まり、また「家にパソコンが無い」という回答も減少している。授業課程でパソコンも導入されるようになり、必要に応じて求められてのものと思われる。また【サイトを勉強や趣味で見たり、ゲームをしたり……子どものパソコン利用目的】や【宿題もインターネットで調べる時代・ネット利用小学生の7割が「宿題はネットで」】にもあるように、インターネットを使って調べ物を積極的に行なう向きもあるのかもしれない。ネット経由の「問題情報」へのアクセスは心配だが、勉強に役立つのならとパソコンを買い与える保護者も多いのだろう。
一方で保護者からは目の敵(かたき)にされがちな携帯ゲームでは全体で6割強が「積極的に使っている」と答えている。
携帯ゲーム機の使用頻度
離れるのは、
パソコンやケータイに
注力するため?
年齢が上がるに連れて使用頻度が高まるのは「途中まで」はパソコンと同じ。しかし小学校高学年で高止まりし、中学生になると逆に減少する傾向が見られる。理由は今調査結果では明記されていないが、自由時間そのものが中学生になると減るという現実以外に、携帯ゲーム機よりも興味深いアイテム(パソコンや携帯電話)に時間を取られてしまうからではないかと思われる。「まったく使わない」も中学生になると1割に登るあたりも、その仮説を裏付ける材料となるだろう。
もちろん減少するとはいえ、中学生でも5割強が「積極的に携帯ゲーム機をたしなむ」と答えている。中学生になっても携帯ゲーム機に対する支持は高いことに違いはあるまい。
●子どもの間にも広がる「携帯電話」と「テレビ」逆転現象、メディア環境の変化
世間一般にテレビ離れ、インターネット端末としての携帯電話の普及が進んでいることはこれまでにも何度と裏づけデータと共に無くお伝えしている。今回の調査結果では子ども達の間にも同様の傾向が見られることが分かる。
子どもの携帯電話の所有率
2回前の調査(1998年)では調査項目そのものがない(調査するほど普及していない)などの理由で9年前との比較ができないものの、小中学生の間でも携帯電話の普及率がこの5年で相当高まったことが見て取れる。特に中学生は全体の7割近くが携帯電話を所有していると答えている。
元々の保有率が高かったこともあり、高学年になるにつれて伸び率は減少しているが、それでも全体で5年間で2倍弱にまで携帯電話が浸透しているようすが分かる。
一方で四大マスメディアの長でもあり、広範囲に情報を告知する、ハードルの低い情報媒体としてはいまだに絶大な影響力を誇るテレビ。このテレビについて「子ども専用のテレビ」の所有率が、5年間で4割程度減少しているという結果が出ている。
子ども専用のテレビ所有率
→携帯電話への注力から?
自分だけのテレビを持つ率が減ったからとしてもそのままそれが「テレビ離れ」に直結するわけではない。見たい番組があれば家庭共通のテレビを見れば良いだけの話。しかし家族の目をはばかることなく好きな番組を独占して見られる「自分だけのテレビ」の所有率減少は、それだけ「テレビに集中したい」「熱中している」子どもそのものの数や時間が減っている現われであることが容易に想像できる。
単にテレビがつまらなくなった、というわけではなく、相対的にテレビより面白いものが増え、テレビを専有する必要性が薄れているということなのだろう。また、いざとなれば携帯電話のワンセグやパソコン上でテレビを見られることもあり、「わざわざテレビを持たなくとも、番組を見たいのなら携帯電話で十分」という判断が働いているのかもしれない。奇しくも、この5年における「携帯電話の所有の増加割合」と「子ども専用のテレビ所有の減少割合」がほぼ一致しているのは、単なる偶然以上のものがあるに違いない。
この5年間にメディア環境は劇的な進化を遂げ、さらにそのスピードは加速する勢いを見せている。その変化は大人だけでなく子どもの生活にも影響を及ぼしていることが、今回の調査からも明確に把握できる。
同じような方向性の変化が今後5年間のうちに起きるとは限らない。まったく新しいメディアが登場し、子どもたちのハートをつかむ可能性もあるし、減少傾向にあるテレビが盛り返しを見せるかもしれない。しかしこれまでの5年間の延長上に今後の5年があることを考えれば、大勢としては携帯電話の浸透率は緩やかながらもさらに高まる一方で、テレビ離れが進むことが予想される。
そして子ども時代にそのような環境に親しんだ人たちが成年になるにつれ、大人の世代でも似たような傾向が踏襲されていくのだろう。そう考えれば、今回の調査結果から見える傾向は、子どもだけでなく世間一般のものとなるのではないだろうか。……すでに一部ではその通りとなっているが。
■関連記事:
【「自分専用の携帯電話を持ったのは中学生時代」が半数以上のケータイ事情】
(最終更新:2013/08/09)
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