鍋物など寒さをしのぐための食料品が堅調…2008年2月度のチェーンストアの売上高、前年同月比+1.9%

2008年03月25日 08:00

【日本チェーンストア協会】は3月24日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年2月度における販売統計速報を発表した。それによると2月は気温が低く春物の衣料品が苦戦したが、鍋物など寒さをしのぐための食料品の動きが良かったことに加え、うるう年の関係で営業日数が1日多かったことから総販売額は堅調。26か月ぶりに前年同月を上回る1.9%のプラスを記録した。また、チョコレートの動きが良かったり、ぎょうざの材料が伸びを見せるなど、時節の商品も大きく売れていたようだ(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の78社・8656店舗に対して行われている。店舗数は先月比で3店舗増、前年同月比で106店舗減。売り場面積は前年同月比98.1%と1.9%ほど減っている。先月に続き売り場面積は減少傾向に転じたようだ。

昨今の傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし年末で区切りよく閉店した店が多かったからなのか2月の統計データでは1月同様に店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。これは先月から見られ始めた傾向で、チェーンストアをとりまく環境がこれまでとは違う、ターニングポイントを通過した(チェーンストアという分野の小売が縮小しつつある)可能性があることを示している。先月は「ただ今月は区切りのよい月なので、たまたま閉店店舗数が多かっただけかも」という推測をしたが、二か月連続するとなると単なる偶然では片付けにくい。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆0008億9091万円
・食料品部門……構成比:64.8%(前年同月比103.7%、△3.7%)
・衣料品部門……構成比:10.5%(前年同月比96.9%、▲3.1%)
・住関品部門……構成比:19.0%(前年同月比100.0%、±0.0%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比93.9%、▲6.1%)
・その他…………構成比:5.3%(前年同月比98.6%、▲1.4%)


店舗数の減少など
全体的に萎縮状態は続く。
ぎょうざ問題で
関連原材料の動きが良い。

2月は札幌以外のほとんどの地域で平年比マイナスとなる平均気温を記録するなど気温が低く、季節の変わり目を予見させる春物衣料品が苦戦した。しかしその寒さのおかげで鍋物商材など寒さをしのぐための食料品の動きが良く、食料品の売上をかさ上げする一因となった。さらに先月はうるう年の関係で営業日数が昨年と比べて1日多く、これも総販売額を上げる原因の一つとなった。個別商品では中国製ぎょうざの問題を受けて、自家製ぎょうざを作る人が増えたからか「にら」「きゃべつ」「白菜」「豚ミンチ」などの項目で特に伸びが観測できたという。

幸いなのはここ半年ばかり下げ要因の一つだった住関品において、明らかに回復振りが見えていること。数字こそ今ひとつ(うるう年を考慮すれば)で家具も不調さが相次いでいるものの、インテリア、寝具系、電気製品などに良い動きが見られている。

改正建築基準法による
住宅着工の減少影響に日差しが。
寝具や小物に堅調さが
見られるように。

【改正建築基準法で影響を受ける周辺業界たち】でも説明したように、建築基準法の改正による行政側の不手際で、新築住宅の建築のペースは大幅にダウンしている。幸いなこと最悪期は脱したようであり、その回復がようやく住関品関連の売上にも反映されはじめた雰囲気が感じられる。もちろん「ぜいたく品」「買い換えを我慢すればなんとかなる品物」の買い控え傾向は払しょくされておらず、注意深い観測を続ける必要があることに違いは無い。

今や内需、つまりは日本国民一人一人の購買力の縮小と景気後退は誰の目から見ても一目瞭然。数か月前までは政府側や一部指標では喧伝されていた「好景気」という言葉もいつの間にか消えうせている。現状がようやく認識されつつあるのか、あるいはすべてが現実を認識した昨今が景気の底となり、後は力を貯めて再上昇を図る時期なのか。どちらが正しいのかは、しばらく様子をみて確かめる必要があるのだろう。


(最終更新:2013/08/09)

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