日本ばかりがなぜ下落……2007年以降突出して下げる日本株、今後はアメリカの減税効果に期待!?

2008年03月08日 12:00

株式イメージ野村アセットマネジメントは3月4日、2月末以降の世界的な株価下落と為替の変動を受けて、市場環境の現状に関する分析報告を発表した。それによると日本の景気は今年前半は外国人投資家の動向やアメリカの景気、為替市場などの動向に左右されやすく調整・不安定な局面が予想されるものの、後半以降次第に市場の安定化が望めると分析している(【発表リリース、PDF】)。

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昨年以降日本の株価低迷が世界の所要国と比較しても深刻なものであることはすでに【日本へ投資したヘッジファンドの成績、2007年は概して軟調・2008年には希望も】でお伝えしたとおりだが、それを裏付けるデータが今レポートにも掲載されている。

各地域の株式市場の推移(2007年1月末を100として指数化)
各地域の株式市場の推移(2007年1月末を100として指数化)

上記はレポートにある、各地域の株式市場の推移。3月3日が一番右端になるのだが、エマージング(新興国)株式は別にしても、北米・欧州・アジア諸国と比べてダントツに日本の株式の下落率が大きいことが分かる。

この傾向は直近、つまり今回レポートが特に注目している期間である2月27日以降においても顕著に現れている。以下は2月27日比における3月3日時点の各地域の株式市場の騰落率。

各地域の株式市場の騰落率(2008年2月27日比)
各地域の株式市場の騰落率(2008年2月27日比)

サブプライムローン・モノライン問題などによる金融信用不信などでいずれの地域も下落しているのは分かるが、その中でもなお日本株式の下落率が際立っている。よく個人投資家間で「日本株はアメリカ株に半ば連動しているというのに、アメリカの上げ率の半分しか上げず、下げ率の2倍は下げる」と自嘲気味に語られることがあるが、その言い回しはあながち大げさでもないことが見て取れよう。

もっとも、直近における日本株の下げ方の原因には為替の急変も一因。「世界の主要通貨に対するドル安」と思われていたがデータを見る限りでは他の通貨に対してドルはさほど変動しておらず、「円高ドル安」が急激に進行していたことが把握できる。

各主要通貨の騰落率(2008年2月27日・対ドル比)
各主要通貨の騰落率(2008年2月27日・対ドル比)

レポートでは現状と近々の予想について次のように報告している。

■現状
・アメリカ経済に対する悲観的な見方とドル安傾向強まる。
・円高により輸出中心の産業に痛手。
・外国人投資家の動向に影響されやすい日本の市場展開において、為替と海外の経済の動きが大きな揺り動かしの原因。
・欧州は比較的平穏。

■今後
・世界景気や為替の変動などもあり、しばらくは不安定な状態が続く。
・アメリカ議会の減税、景気対策効果が5月頃から出てくるものと見られ、それ以降は次第に安定を取り戻すものと思われる。


今レポートは3月4日に発表されたもので、3月7日の雇用統計の結果は反映されていない。その結果は「失業率4.8%(先月比0.1%改善)」「非農業部門雇用者数-6万3000人(先月-2万2000人)」と、微妙な数字が出ている。非農業部門雇用者数の2か月連続しての減少は2003年中盤以降で、また単月の減少幅は過去5年間中最大のものとなっている。製造・建築・小売など、サブプライムローン問題に端を発する金融信用不信による不景気を如実にあらわしたものといえる(【発表リリース】)。

また、今レポートではアメリカの景気対策については考慮されているが、その一方でサブプライムローン・モノラインなどによる金融機関が抱える負債については、解決可能性の言及がほとんど見られない。現状の株価においてはむしろこちらの方が与える影響が大きく、さらに日本の株式に限定すれば国内政局や内需のすう勢など複雑な要素があり、単純に「今年後半以降は景気も株価も回復するネ」と信じるのも難しそうだ。

(最終更新:2013/08/10)

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