三菱電機、世界最高変換効率18.6%の太陽電池を開発
2008年03月20日 08:00
【三菱電機(6503)】は3月19日、実用的なサイズ(150×150ミリ)のシリコン太陽電池セルにおいて世界最高の光電気変換効率となる18.6%を達成したと発表した。同社内のこれまでにおける開発品の最高変換率18.0%を0.6ポイント上回ることになる(【発表リリース】)。
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今回開発された世界最高の光電気変換効率18.6%を誇る太陽電池
太陽電池は太陽から降り注ぐ光エネルギーを電気エネルギーに変える仕組みを持つ電池。その変換効率が高ければ高いほど、同じ面積でたくさんの電気エネルギーを得られるようになり、効率も良く獲得電気の生産コストも下げることができる。現在実験・開発レベルでの変換効率は16~18%、市販の太陽電池モジュールの効率は10%前後とされている。
太陽電池は枯渇する資源を使うことなく、いつでも再生される資源(この場合は「太陽光」)を元手に生産できるため「再生可能エネルギー」と呼ばれている。化石燃料の枯渇や高騰が叫ばれる中、この再生可能エネルギーの最先端をいく太陽電池に注目が集まっている。しかし太陽電池には需要の急増で原材料となるシリコンが不足しているため、少ないシリコンでも同じ電気が得られるように、シリコンウエハーの薄肉化と変換効率の向上が求められている。
今回三菱電機が開発した太陽電池セルでは、「世界初の低反射テクスチャー形成技術開発」「半導体内部の接合における最適化」「電極の線を極力細くして発電面積を拡大」などの工夫を施し、今回の18.6%というし氏をはじき出すことに成功した。三菱電機では今回開発したシリコン太陽電池セルについて、2010年以降の自社太陽電池モジュールに順次導入し、その恩恵を享受する予定。
太陽電池では面積あたりの光電気変換効率はもちろんだが、寿命との兼ねあわせから来る「一定期間内のランニングコスト」の問題も考慮する必要がある。ランニングコストがタダ同然(太陽光だから石油などの燃料は不用。メンテナンス費用や土地代のみ)だとしても、各モジュールの寿命が短く、単価が高ければ、取得エネルギーに対する費用は化石燃料における発電と何ら変わりはなくなってしまう。地球に優しくとも費用が割高になれば、一般への普及は難しい。
今後は販売モジュールにおける光電気変換効率の向上はもちろん、太陽電池そのものの寿命を伸ばし、モジュール交換を含めて考えた上でのランニングコストの軽減にも力を注ぐことが求められよう。
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