丸紅もサブプライム問題で176億円の損失

2008年03月29日 12:00

株式イメージ【丸紅(8002)】は3月28日、イギリスの資金運用子会社Marubeni International Finance p.l.c.(MIF)が保有している証券化商品などの金融資産の評価損として、176億円の損失が発生し、これを計上することを発表した。信用収縮が続く現状において資産の時価が下落、短期間での回復は困難であるとの判断によるもの。金融資産運用を行なう子会社の損失という形で、サブプライムローン問題に関連する損失が金融業以外の事業会社にも広がりを見せつつある(【発表リリース】)。

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リリースによるとイギリスのロンドンに本拠地を構えるMIFは1984年に設立され、20年以上に渡って安定的な資金運用収益をあげてきた。一部報道によると昨年3月末時点で運用資産は400億円ほどに登り、その内訳は半分が公社債、残りは債務担保証券(CDO)や資産担保証券(ABS)だという。昨今の金融市場の信用収縮で、このうち公社債以外の資産価値が大きく下落。しばらくは回復する見込みがないことから、損失の一括処理に踏み切ることになった。

さらに丸紅では今回の損失を受けて、SIV(Structured Investment Vehicle、CDOやABSなどリスクの高い金融商品を運用する特別目的会社)などの仕組債への投資事業からの撤退を決定。MIFの解散を決意し、結果として176億円(税引き前)の損失を計上することになった。これにより2008年3月期の連結純利益にマイナス107億円の影響があるものの、先に発表した業績予想に変更はない。

今件は一言でまとめると、直接本社が「サブプライムローン問題は関係ない」という状況であっても、SIVなどの子会社が影響を受け、間接的に損失を被ったということになる。

今回問題になった「仕組債」とは先日[武富士(8564)]でも実質300億円の損失を出したことで話題になった債券(【発表リリース】)のことをさす。これは普通の債券にオプションやスワップといったさまざまな金融派生商品を組み込み(仕組み)、債券の買い手にとっては通常の債券よりリスクが高く透明性が低いものの、大きなリターンが得られる形のもの。

サブプライムローン問題による金融市場の信用収縮と格付け機関の格付けの問題、そして仕組み債など関連証券の資産価値下落については、販売側の説明責任・適切な情報開示が足りなかったのではないかとして、海外では相次いで訴訟が起きている。武富士の事例でも(【一部報道】)によると損害賠償訴訟を起こす動きがある。今回の丸紅における子会社の損失も、詳細は明らかにされていないが同様に「仕組債による損失」なため、販売側の説明不足の責任を問う可能性が無いとはいえない。

今後、今回の丸紅のように、子会社の金融派生商品による損失確定の事例は増えてくるだろう。それと共に金融機関側の「責任」も改めて問われることになるに違いない。

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