寝ているだけで一か月で120万円稼いだ男
2008年03月15日 19:30
よほどの資産家でない限り、寝ているだけで収入を手に入れ、生活できる話などない。どこぞのうさん臭い商材やインチキ話で語られそうなエピソードだが、その十中八九は嘘っぱち。しかしちょっとしたアイディアで、その「夢」を現実のものにした人物がオランダにいた。
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「寝ることが自分の唯一の長所」と語るYde van Deutekom氏。
その人物の名はYde van Deutekom。オランダの学生でまだ22歳。彼は自分の寝ている姿をウェブカメラでリアルタイムに撮影し、インターネット上で世界中に公開。その様子を展開するサイトの各所に広告枠を設け、その広告収入で言葉通り「寝ているだけでお金が転がり込む」システムを創り上げた(他にPaypal経由での寄付金受付もある)。そのシステムが実働しているのが【SLEEPINGRICH.COM】。
彼は「睡眠は自分の趣味に過ぎない。むしろそれが唯一他人に誇れる長所といえる。皆は自分にどういうことをしたいのか尋ねてくるが、本当にしたいのはただ寝ることだけ」と答えている。
「シャワーを浴び、トレイに行き、食事をとる以外、自分はずっと寝ている。それこそが自分がしたいことのすべてだから。そして自分がこの'ビジネス'でお金持ちになるまで、寝続けたい」と考えているとのこと。
彼のサイトは最初オランダの人たちを対象にするということで「SlapendRijk.nl」のドメインが使われていた。しかし彼の所業がメディアで報じられ有名になると共に、「自分の'ビジネス'はワールドワイドに展開すべきだ」と判断、現在の【http://www.sleepingrich.com/】に移行したという(旧ドメインにアクセスすると自動的にジャンプする)。
広告枠は今やすかすか。それでも彼は「寝ているだけで月商120万円」という実績を手に入れた。経費を除いても100万円は固いだろう。
当初広告スペースを埋め尽くすかのようにちりばめられていた広告も、一か月経過した今ではまばらなもの。話題性としてはすでに旬を過ぎたと判断されたようだ。しかしそれでもアクセスカウンターを見ると一か月に37万3000人近くが来客し、1万2000ドル強(120万円)も稼いだことになる。24時間ずっと寝ていたとして、時給約16ドル(1600円)。言葉通り「フルタイム」で働けることを考えると、なかなか良い「ビジネス」ではある。なおこのサイトでは一言掲示板で彼に呼びかけたり(読むかどうかは本人の気まぐれ。時々返答もしてくれる)、フォーラムで論議を交わすこともできる。……当の本人が寝ているばかりなので、不毛な展開になることが多いのは言うまでも無い。
かつてホームページ上の空間を広告エリアとして貸し出すこと自身を目的とし、一山どころか億万長者になったイギリスの大学生がいた(【10ピクセル四方の場所、100ドルで売ります……イギリスの学生が億万長者に】)。また、インターネットを使ってライブカメラで世界に情報を発信するという仕組みは、ケンブリッジ大学のコンピュータ研究室に配置してあったコーヒーメーカーをただ映し出すだけの【The Trojan Room Coffee Machine】が最初だといわれている。「寝るだけ男」の「ビジネス」はこれらと何らかの発想上のつながりがあるのかもしれない(……むしろ、単に「楽して儲けたい。究極の楽は寝ることだ。じゃあ寝ていて儲けたい」と直結して考えた可能性が高いが)。
今では気軽に誰でも情報配信ができることもあり、ライブカメラを使ってさまざまなビジネスが展開されている。しかし彼のように「それじゃ寝ているだけでお金が稼げないかやってみるか」と考え、それを実行してしまい、その上ある程度の成果もあげてしまうのは、過去に聞いたことがない。インターネットにおけるビジネスはつくづく「発想」と「仕組みづくり」にあるのだな、と実感させられるお話ではある。
(最終更新:2013/08/25)
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