トヨタ、バイオエタノール混合率10%燃料対応車の認定を取得

2008年03月15日 12:00

バイオエタノールイメージ[トヨタ自動車(7203)]は3月14日、「E10」と呼ばれるバイオエタノール混合率10%燃料対応車として、カローラフィールダー1.8L 2WD(CVT)の国土交通大臣認定を取得したと発表した。また同車両が環境省の「地球温暖化対策技術開発事業」(E10利用実証事業)において、大阪府に提供される予定であることも明らかにした(【発表リリース】)。

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写真は通常の「カローラフィールダー S“エアロツアラー”(2WD)」。E10を使えるからといって車体に大きく「E10」と描かれているわけではない。外見はほぼ同じだろう。
写真は通常の「カローラフィールダー S“エアロツアラー”(2WD)」。E10を使えるからといって車体に大きく「E10」と描かれているわけではない。外見はほぼ同じだろう。

リリースによるとトヨタでは、二酸化炭素削減や化石燃料(石油など)の消費抑制の観点から、バイオエタノール燃料をガソリンへの混合燃料として幅広く普及させることが有効であると判断。すでに2006年6月以降に世界各地で生産しているすべてのガソリンエンジン車において、燃料系部品の材質変更を行うなど、E10への技術的対応を完了している。さらに2008年1月からはタイでカローラアルティスのE20(バイオエタノール混合率20%)対応車を、FFV(Flex Fuel Vehicle。ガソリンとエタノールなどを任意の比率で混ぜた燃料が使用できる自動車)については2007年5月からブラジルでカローラFlexおよびカローラフィールダーFlexの販売を開始しているほか、アメリカでもタンドラ・セコイアのFFV(E85)を本年中に販売する予定とのこと。

日本でもバイオエタノール混合燃料対応車の開発や普及が進められているが、わざわざ対応車を作ることから分かるようにバイオエタノールを混ぜた燃料を使う場合(E3のようなごく少量ならともかくE10レベルになると)、自動車自身にそれなりの、E20やFFVともなれば大規模な配慮が必要になる。そこで日本でも他国同様、国土交通省の認定が必要になるわけだ(もっとも、どの自動車でも認定は不可欠。バイオエタノール対応車の場合チェックが増えるだけの話)。

なお今回認定を得た車両は、大阪府で3月末から実施される実証実験に提供されるが、この燃料には【政府主導版バイオ燃料E3、8月から発売へ】で報じた、バイオエタノール・ジャパン・関西が精製している、廃材を元に精製した(とうもろこしなど食料と競合しない)バイオエタノールを混ぜた燃料を用いることになる。

アメリカでは高濃度のバイオエタノール燃料・対応車量は流通網の問題からなかなか普及しないという問題がある(【「安くても実はコスト高!?」 アメリカのバイオガソリン事情】)。ましてや日本では政府主導方式と石油業界主導方式で意見が対立したまま並行して実験が行なわれるなど、規格統一すらなされていない状態。バイオエタノールそのものにも色々な問題提議がなされ、万能論は否定されつつあるが、将来性のある手法のひとつに違いない。今回のトヨタの実験車両のように自動車業界など現場の協力もあわせ、日本でも大いに研究開発が進んでほしいものだ。

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