アオサで10%、ホテイアオイで16%……海藻類からのバイオエタノール生産収量を初確認
2008年03月27日 19:35
独立行政法人水産総合研究センターは3月25日、海藻類などから取れるバイオエタノールの生産収量をはじめて明らかにした。発酵法で海藻を原材料としエタノールを生産する際の、単位重量当たりのエタノール変換率を算出したもので、採算性の計算をする場合などさまざまな面で用いられることが予想される(【発表リリース】)。
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今回明らかにされた数字は、東京海洋大学などとの連携ではじめて行われたもの。日本は排他的経済水域の面積では世界第6位を誇るメリットを持つものの、前世紀において海藻を用いたエネルギー活用実験で失敗を経験したことがトラウマとなり、ほとんど海洋生産によるバイオエタノール生産技術の研究は行なわれていない。
しかし日本の国土の特徴(陸上が狭く、陸上植物のバイオエタノール生成には限界がある)はくつがえし難く、再び、恐る恐るではあるが、海洋を生産場としたバイオエタノール生成技術開発に期待が寄せられつつある。
具体的な数字は次の通り。独立行政法人水産総合研究センターなどが水産庁の「水産バイオマスの資源化技術開発事業」予算を用いて去年から海藻などを原料としたバイオエタノール生産技術の研究を始めているが、その成果の一つである。
・海藻(アオサ)……乾燥重量の10%
・水生植物(ホテイアオイ)……乾燥重量の16%
例えばアオサを収穫して10キログラムの乾燥束を作れば、そこからは現在の生成技術では理論上1キログラムのバイオエタノールが作れる計算になる。ホテイアオイなら1.6キログラムだ。
アオサは繁殖力が非常に強く、自然環境そのものへの打撃や漁業、観光などへの影響も懸念されている、やっかいな邪魔者といえる。現在はそのほとんどが回収されたあと焼却処分される運命にあるが、単に燃やすだけなのでコストばかりがかかる。
しかし今回算出された数字を元に、乾燥重量や生産コストなどを計算し「どの程度のランニングコストならバイオエタノール化しても採算が取れる」や、「現在は10%だがあと○%効率を高めれば実用化できる」などの見通しを立てることができる。
政府の新エネルギー構想でもほとんど研究対象とされていない、海洋面でのエネルギー「開拓」。欧米などの先陣に習い陸上の植物からの生成に精を出すのもよいが、目の前に広がる広大な恵みの源の声に、もう少し耳を傾けてもよい時期に来ているといえよう。
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