【更新】マガジンとサンデーが共同戦線・「探偵モノ」大作過去作品を増刊で発売

2008年02月28日 08:00

書籍イメージNHKや[毎日新聞]などが伝えるところによれば、二大週刊少年誌である講談社の「週刊少年マガジン」と小学館の「週刊少年サンデー」の編集部が出版社の枠を越え、増刊という形ながらも一つの漫画雑誌を編集することが明らかになった。両社からも正式発表は行われておらず、報道によれば3月18日に会見を行い、正式に発表する予定。

スポンサードリンク

報道によると今回の試みは、少年マガジンと少年サンデーが共に来年で創刊50周年を迎えるのを機会に行なわれるもの。同時に売行きの減少が続く少年漫画界の活性化の手助けになれば、という想いもあり、両誌の出版元である講談社と小学館が合意した。

出版は増刊というスタイルで行なわれ、今年の4月から半年間、月に2回のペースで発売される。内容はマガジンの「金田一少年の事件簿」(天樹征丸作、さとうふみや画)とサンデーの「名探偵コナン」(青山剛昌)という、両誌の看板タイトル的な探偵・推理モノ漫画それぞれについて、過去の作品の中から名作を掲載していくという。

人気が高い、あるいは話題性に富んでいたり編集部サイドからプッシュしたい漫画は本誌連載や単行本化とは別に、増刊などの形でダイジェスト版・特装版などが発売され、本屋やコンビニなどの雑誌コーナーをにぎわす場合がある。今回の「マガジン&サンデー」な探偵漫画増刊も、おそらくはそれに近いスタイルを取るのだろう。

元記事によればマガジン・サンデー共に昭和34年3月に創刊し、読者層もほぼ同じとするライバル誌として業界を支え、切り開いてきた。しかし日本雑誌協会のデータでは昨年の発行部数がマガジン187万部・サンデー93.5万部と、ピーク時と比べて半分以下に減っているという。このような状況に危機感を持つ両社・両編集部による起死回生の状況打開策の一つが今回の増刊ともいえるだろう。

先に【経済誌以外はほぼ軟調、5年間で4割減・主要雑誌の売行きデータ】でも触れたが、インターネットの普及やライフスタイルの変化により、紙媒体業界は全般的に不振状態が続き、体質の抜本的改善が求められている。この記事の元テキストには「(週刊少年マガジンは)この10年間に部数が300万部減った。一冊200円として1週間に6億円、年間では300億円の減収になる」という表現がある。また【出版科学研究所の公開データ】によれば週刊発行形態を含むコミック誌の売上は定期購読者離れが進み、落ち込みに歯止めがかからない状態なのも確認できる。

コミックス(単行本)とコミック誌の売上推移
コミックス(単行本)とコミック誌の売上推移

今回のマガジン・サンデー共同による増刊発売は、例えるならANAとJALが共同で航空旅客機を開発運用したり、ソニーと任天堂が自社ゲーム機に共有できるゲームパッドを開発するようなもの。増刊の試みがうまく行けば、今後さらなる効果を期待し、共同企画が実施される可能性も高い。どのような体裁・内容になるのか、そしてどれだけの相乗効果が現れるのか、両誌・両漫画のファンはもちろん、その他の出版関係者も気になるところだろう。


(最終更新:2013/09/07)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ