誰にでも出来る、けがの回復を早める方法
2008年02月25日 06:30
【BBC News】が伝えるところによれば、オハイオ州大学の研究実験によって、ケガをした時の回復スピードが「怒り」をコントロールできるかどうかの度合に大きくかかわっている可能性があることが明らかになった。要は「怒りやすく、興奮しやすい人」ほどケガの回復が遅れるのだという。脳行動の研究と免疫学はそれぞれ、感情的なストレスが、人間の身体における自己修復能力に強い影響を与えていることを示しているというのだ。
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その実験では98人を治験対象とし、自分の感情をコントロールできるかの度合と、やけどによる水ぶくれが出来てから治るまでの期間の計測が行なわれた。その結果、感情の起伏が激しい人は、おとなしい人より治りが遅いという傾向が見られた。
具体的には腕に軽いやけどを負わせて水ぶくれを生じさせ、8日の間にどのように治癒されるかを観察した。検査対象者には事前に心理テストが行なわれた。感情の起伏(怒り)をコントロールできるかどうかで分類され、特定の薬の服用者やタバコを吸う人、コーヒーの大量飲料者、太り過ぎややせすぎの人は除外された。感情のコントロールに関する調査のため、これら「イライラを抑えるのに他の要因が作用する人」をのぞく必要があったようだ。
その結果、怒りをコントロールできない人はできる人に比べると、水ぶくれが治るまでに4日以上かかった人の数が4倍に達したという。つまり「怒りっぽい人ほどケガが治りにくい」傾向が見られた。
これについて元記事などでは、怒りをコントロールできない人たちには、ストレスで分泌されることが多い副腎皮質ホルモンのコルチゾールが多く検出されたことから、このホルモンが回復の遅れに影響を及ぼしているらしいと示している。その一方「身体というものは時として一つのものを優先して実行する傾向にある。もしケガの回復過程にある時に怒りなどで強いストレスが発生すると、そちらへ体の注力が移ってしまい、体の回復(自己回復力)への注力度が減ってしまう」とも分析している。
またその他にも、親や配偶者が痴呆などの状態におちいり看病しなければならない女性は通常に比べて24%ほどケガの治りが遅いこと、夫婦喧嘩をしているだけでもケガの回復に支障を来たす傾向があることを伝えている。
笑顔を絶やさず笑いにあふれる毎日を過ごすことでNK(ナチュラルキラー)細胞が体内に増え、体の健康を維持してくれるという「笑いの効用」は、最近になって注目を集めるようになった(【NK細胞についてはこちらが詳しい(免疫プラザ)】)。また日本には古くから「笑う角には福来る」ということわざもある。
今回の調査結果はあくまでも「怒り」の感情(ストレス)がけが(外傷)の治癒にはマイナスに働くという話。しかし体内における自己回復力の注力の問題やNK細胞が深く関係しているのなら、人の体をむしばむケガ・病気全般に多かれ少なかれ当てはまることになる(怒ってばかりだとNK細胞が活性化しない)。
ケガや病気で自分の身体に支障を来たしたら、少なくとも怒らない、そして何でも良いから楽しいことを見つけて常に明るく振舞い、笑いを絶やさない。それを心がけることで、回復が早まるかもしれない。これは何の薬も道具も使わず、誰にでもすぐに実行できる。もし病気やけがをしたり入院する羽目になったら、ぜひ試してみよう。
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