緑茶の胃がん予防効果は喫煙で台無しに
2008年02月23日 08:00
厚生労働省研究班が2月22日に発表したところによると、緑茶に含まれる成分の「カテキン」には胃がん予防の効果があるものの、喫煙をするとその効果が失われてしまうかもしれないことが明らかになった。むしろ逆に胃がんリスクが高まる可能性すらあるという。「タバコを吸ってもお茶を飲んでいるから、がんは大丈夫だネ」と思っていると、実はとんだ落とし穴にはまっているかもしれない(【発表リリース】)。
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今調査は1990年と1993年に調査対象の保健所管内に住んでいた40~69歳の男女3万7000人に対し、2004年までに渡って追跡調査をし、期間中に胃がんになった患者494人の血液中のカテキン濃度について、胃がんにならなかった人から年齢や性別などの条件を合わせた同人数を選び対象比較した。
すると、検出した4種類のカテキン(緑茶ポリフェノール)の中でもエピカテキン3ガレート(ECG)という成分が濃い女性は、通常の人と比べて最大で7割も胃がん発生リスクが下がることが判明した。ところが男性ではそのような効果が見られず、場合によっては逆にリスクを高める(カテキンの一種EGCエピガロカテキンの場合は高濃度だと約2倍)という結果が出てしまう。
そこで喫煙者と非喫煙者、過去に喫煙した経験のある人で比較したところ、「非喫煙者=高濃度カテキンが胃がんリスク軽減」「喫煙者=高濃度カテキンが胃がんリスク上昇」という調査結果が明らかになった。
喫煙状態別の血液中のECG(エピカテキン3ガレート)の濃度と胃がんリスク
研究班側では今回の調査結果を受けて、緑茶中のカテキンと喫煙、そして胃がんリスクについて次のようにまとめている。
・男女差が見られるのは喫煙状態が大いに影響している可能性がある(中高年男性の喫煙率は高い)
・たばこを吸うと緑茶による胃がん発生を予防する効果が見られるが、喫煙者では逆に促進させてしまう
・カテキンとピロリ菌との関係も考慮しなければならず、今回の「喫煙が緑茶の胃がん抑制効果を台無しにする」という解釈を断言するのはまだ早急
・ただしデータとして出ている以上、「緑茶で胃がん防止」を考えている人は、禁煙した方が良いだろう
いわば食い合わせの悪さ、という形だろうか。今回の調査はあくまでも統計学的な方面からの分析で、具体的に緑茶のポリフェノール(カテキン)の構造や機能が胃がんを抑えたり、喫煙で促進させるような働きを見つけたわけではない。とはいえ、多くの人たちによる傾向が見出されているのだから、理由は分からなくともそれが正解である可能性は高い。
「がん」には胃がん以外にもさまざまなものがあるが、とりあえず胃がんを抑えるためには緑茶を愛飲すると共に、タバコは止めたほうがよさそうである。
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