【更新】義理・本命に続く第三の「世話チョコ」とは?

2008年02月04日 06:30

チョコレートイメージ先日巡回先のサイトを回っていると、見慣れない言葉が目に留まった。バレンタインデー関係の記事なのだが、[“義理”より格上「世話チョコ」登場]というタイトルで、新たなカテゴリーのバレンタインデーにおけるチョコを売り出そうという話らしい。

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「本命」と「義理」の二極構造を打ち崩す「世話」なチョコ

この「世話チョコ」を展開している【恵比寿三越】がバレンタインデー前に調査したところ、「会社の上司や同僚」にチョコレートを手渡す人がもっとも多かったという。三越側ではその行為を単なる義理ではなく「お世話になった感謝」と分析。意中の相手に贈る「本命チョコ」、世間のしがらみに捕らわれて義理で渡す「義理チョコ」以外に、新たな定義として「世話チョコ」なるものを設定した。

図に表すと「世話チョコ」とはこのような感じだろうか。

本命チョコと義理チョコ、そして「世話チョコ」との関係。
本命チョコと義理チョコ、そして「世話チョコ」との関係。

これまでは基本的に「本命チョコ」と「義理チョコ」の2つに一つしかなく、一方向のベクトル「愛情や好意のあるなし」でしか定義が出来なかった。「義理チョコ」の中には本当の義理で仕方なくあげているのもあれば、お世話になったお礼として単なる義理以上の意味合いを含めたものもあっただろう。しかし世間一般には「本命でなければすべて義理」でしかなく、気持ちを表すのが難しかった(メッセージカードを添えれば良いだけの話だが)。

今回「世話チョコ」を新たに定義することにより、「愛情・好意」のY軸に「感謝の気持ち」のX軸が加わり、新たな気持ちを表すことができるようになった。つまり「愛情云々ではなく、世話になったお礼の意味を込めた、好意的な感情や感謝の気持ち」をバレンタインデーチョコに含められるようになった次第である。縦軸「愛情・好意」しかなかった関係に横軸「感謝の気持ち」を加えることで、複雑な想いを表現できるようになったというわけだ。

「世話チョコ」は意外に使い勝手の良いスタイル? そして業界側の思惑とは

内情的には感謝やお礼の意味を込めていても、本命以外ならすべて「義理」だった場合には、渡す方も受け取る方も気まずい場合がある。しかし「世話チョコ」を新たに創ることで、好意的な贈呈品・プレゼントとして、愛情云々を抜きにした好意を示すチョコレートを堂々と渡せるようになった……だから義理チョコよりももっと凝ったチョコレートを「世話チョコ」として贈りましょうというのが恵比寿三越などの狙いだろう。

バレンタインチョコイメージ恵比寿三越のサイト自身には「世話チョコ」そのものの言及はない。わずかに「ファミーユ バレンタイン」と称してパンやスイーツなどを展開している【ジョアン】において、「身近な家族から普段お世話になっている方へ、バレンタインのこの時期に、小さなプレゼントをしませんか?」と銘打ち、単なる義理チョコ以上の「お世話になった感謝を示すスイーツやチョコレートのプレゼント」を提案している程度である。

バレンタインデーに女性が男性にチョコレートを渡して告白する、義理チョコを渡すなどの風習は日本独自のもので、業界側が作り出した商戦手段ともいえる。【日本チョコレート・ココア協会の統計データ】を見ると、直近10年間では2000年をピークにチョコレートの年間売り上げやバレンタインデー時のセールスは横ばいか減少傾向にある。ここで新たに「世話チョコ」という新しいスタイルを提案し、チョコレートの消費量を増やしてもらいたいという思惑は分からないではない。


当方自身、バレンタインデーと関わる機会がほとんどないからかもしれないが、「世話チョコ」という言葉は初めて耳にした。まだ生まれてから間もない言葉・スタイルなのだろう。今後世の中に浸透し、本命・義理チョコと同じように世間一般に広まるかどうかは今のところ分からない。

とはいえ、いつも感謝している相手に「ありがとう」の気持ちをあらためて伝えるイベントは決して悪いものではない。渡す側も受け取る側も、「世話チョコ」なら何の気兼ねもなくやりとりができるだろう。その観点から考えれば、「世話チョコ」の提案は非常に面白く、有意義なものに違いない。

……できることなら「三倍返しの法則」は「世話チョコ」には無効、というのも一緒に布教してほしいものだが(笑)。

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