●住みやすい都市ナンバーワンは「武蔵野市」

今調査は2007年10月26日から28日、ネット経由で東京都内各市区毎に20歳以上の男女103名ずつを対象に行なったもので、そのうち有効回答数は4120(有効回答者100以上の市区を対象)。男女比は1978対2142。

今調査では12項目「街並み」「生活利便施設の充実度」「日用品の物価」「公共交通網の充実度」「職場・繁華街へのアクセス」「治安」「保育施設・教育機関の充実度」「自然環境」「水や空気」「地域コミュニティ機能」「自治体公共サービスの充実度」「地域の将来性」について5段階評価を求め、それを平均化して結果を算出している。

各都市毎の配点詳細などはリンク先で確認してほしいが、評価総合得点、つまり「生活実感満足度」のトップは武蔵野市の41.44だった。

特に武蔵野市はすべての項目について平均以上の得点をキープ。とりわけ「地域コミュニティ機能」「生活便利施設の充実度」で都内トップの高評価を得ている。レポート分析にもあるように、「自然が多い」「吉祥寺などの商用圏をカバーしている」という、一見相反するような要素を併せ持つところが高得点の要因となったようだ。

●今後住みたい都市も「武蔵野市」がトップ・23区は上位に繰り上がる

現在の居心地について「良い」という回答の上位は軒並み23区外・多摩地区に集中してしまうという結果が出た。では「今後も今の場所に住みたいか」とたずねた上で、その結果を上記の「生活実感満足度」、つまり「今の居心地」と掛け合わせてランキング化した「総合的な満足度」(要するに「今は満足、今後もここに住みたい」)のランキングを作ったところ、やはり武蔵野市がトップに立つという結果が出た。

上記の「生活実感満足度ランキング」の順位と比較すれば分かるように、「今現在の生活環境にはそれほど満足していない」はずの23区内がいくつか上位にランクインしている。23区内に住む人で不自由さを感じる面があっても他地域に引っ越さない傾向が強いのは、「その不自由さを看破するだけの利点がその場所にはある」からなのだろう。

それが分かる一つの事例が「住環境選びに対する重視点」を23区内の住民と多摩地区住民それぞれに聞いた結果。

23区内住民は移動機関の利便性を上位に挙げているが、多摩地区住民は「自然」がトップ。それぞれの住民が何を重要視しているのか、そしてそのメリットを享受できているから(他の面で不満はあっても)住み続けたいと考えているのかが把握できる。

多くの人は色々な候補の中から現在の居住地を決めたはず。自分が住みだしてから環境が激変した場合もあるだろうし、特殊事情によってその地域に住まざるを得ない人もいるだろうが、何らかの利点を見出した上での決定のはずだ。その「利点」の度合が強ければ強いほど他の弱点は薄れてくるし、「住めば都」の言葉にもあるとおり慣れてくれば妥協できてしまうことも考えられる。

よほど周辺環境が悪くない限り、「隣の芝は青い」のだろう。本当は自分自身も「自分の庭の芝もそれなりに青く、満足している」と分かっていたとしても。

一方、今回の調査結果ではとりわけ「武蔵野市」の人たちの多くが「自分の芝も青い」と理解し、満足しているということを表しているに違いない。