●ほぼすべての事業部門で不振

リリースによれば今回の下方修正の理由について、

などをあげている。

リリースによると現状における各事業部門別通期予想は次の通りとなる。

セガサミーHDは元々ゲーム会社のセガとパチンコ・パチスロ会社のサミーが合併して出来た持ち株会社。かつてはサミーの部門が経営的な数字をかさ上げし、セガのゲームセンター筐体部門がそれに追いつこうという雰囲気、ゲーム機など他の部門が奮闘すれども数字的には今ひとつ、という状況だった。

しかしパチンコやパチスロの規制強化による情勢の変化で収益が大幅に減ると共に、ゲームセンターへの客入りも減り(一部分析報道では[任天堂]のWiiがゲームセンターのお株を奪った、との話もある([体を動かして遊べる「Wii(ウィー)」の人気でゲーム施設ならではの魅力が薄れ、ガソリン高で車での来店客も減った'(日経新聞)]))、収益悪化につながっている。

●リストラ、戦略転換、開発力強化……対策次々に

このような状況に対しセガ側では

などを挙げている。ゲーム業界部門に限って見ても、「プラットフォーム戦略の転換」や「社外有力クリエイター」など、気になる表記が見受けられる。今後、既存発売予定リストに挙がっているタイトルの見直しなども行なわれるだろう。

●「セガサミーは倒れたままなのか？」

それぞれがそれなりに効果をあげそうな対策ではあるが、効果が出るのは早くても来期以降。さらに今回の連結決算予想の根拠となる【第3四半期の概況(PDF)】を見る限り、もっとも大きな営業利益をあげる予定のパチンコ・パチスロ事業において機種販売に関する見通しが甘いようにも見受けられる。販売状況によっては(恐らく)再度の下方修正、あるいは決算発表時に今回の予想をさらに下回る、という可能性も捨てきれない。

ゲーム機部門・パチンコやパチスロ部門・ゲームセンター部門共に「冬の時代」を迎え、財務的に寒さに打ちひしがれている形となったセガサミーHD。しかし生きている限り冬は必ず終わり、また春がやってくる。「冬の時代」がどれほどの長さになるのかは、経営戦略次第。

旧セガにはそれこそセガサターンやメガドライブに代表されるハードを輩出し、かつて「家庭用ゲーム機部門でソニーや任天堂と肩を並べていた時代」からのファンも多い。(ゲーム部門云々としてではなく会社としての「セガ」という意味で)彼らの期待に応えられるよう、これからやってくるであろう厳冬の時代を耐え忍んで春に備えてほしいものである。かつての新聞広告ではないが、「セガサミーは倒れたままなのか？」で終わらないように。