食の安全性への不安高まる・8割超が「不安を感じる」
2008年02月16日 12:00
gooリサーチが2月15日に公表した調査結果によると、1月下旬の時点で「食の安全に不安を感じている」人が8割を超えていることが明らかになった。人間の生活構成要素「衣食住」の中でも直接体内に関わる要素「食事」について、平穏無事な生活を迎えるために本来は絶対な安心感を得なければならないはずなのに、多くの人が心配をしていることがうかがえる(【発表ページ】)。
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今調査は「中国製ギョウザによる中毒事件が発覚する1月30日」'より前'の1月下旬にインターネット経由で行なわれ、1089人が回答している。具体的な調査対象区分は公表されていない。
調査時点において「食の安全性について不安を感じることがあるか」という問いには、2割近くが「常に」、7割近くが「たまに」不安を感じると回答した。
■食の安全性について不安を感じることがあるか
・常に不安を感じる……19%
・たまに不安を感じる……67%
・あまり不安を感じない……13%
・まったく不安を感じない……2%
「常に」と「たまに」をあわせた、「不安を感じる」派は実に86%と9割近くに及んでいる。去年一年間を見ても(過剰報道に過ぎるきらいがあるが)賞味期限・消費期限の偽装問題などが相次ぎ、大きな社会問題となった。不安を感じる人が多いのも仕方ないのだろう。
「食の安全に関する不安」といっても、その実情はさまざま。「具体的な不安」の点について、「不安を感じる」派に尋ねたところ、4つのポイントに絞られた。
■具体的にどのような点に対して不安を感じるか(不安を感じる人に、複数回答)
・製造年月日、賞味期限、消費期限が正しく表示されているかどうか……69%
・添加物の有無……68%
・残留農薬の有無……67%
・産地や銘柄が正しく表示されているかどうか……61%
・その他……4%
設問側は「去年問題視されたポイントを4つほど挙げたが、恐らくどれか一つに片寄るだろう」と考えていたに違いない。ところが結果としてはほぼ同数、しかも6~7割という高い得票率を得る結果になった。次から次へと沸いてくる「問題」に、消費者は一様に頭を痛めていることが分かる。
また、これらの問題は相互にリンクするところが大きい。例えば「産地・銘柄の偽表記」があれば、実際の産地次第では「残留農薬の有無」について疑問符を投げかける必要があるかもしれない。そのような関係を考えると「いずれかの問題が特に重要」ということではなくて、「消費者にウソをつかないで」という心の叫びが潜んでいるのかもしれない。
それでは消費者は自己防衛手段として、どのような手立てを取れるのか、取っているのか。
■食生活の上で心がけている点は(複数回答)
・なるべく国内産を購入する……69%
・製造年月日や賞味期限、消費期限に気をつける……66%
・なるべく添加物の少ない商品を買う……51%
・調理済みの商品や加工食品などはひかえる……25%
・外食をひかえる……16%
・その他……3%
・特にない……6%
「外食をひかえる」「調理済み惣菜や加工食品をひかえる」というのは、食生活の実情や流通の現状から見て不可能と判断している人が多いのだろう。リスクコントロールという観点ではそれらが実行できればそれに超したことはないが、心がけている人はそれぞれ2割前後に過ぎない。
一方で「なるべく国内産を購入する」と答えた人が7割に届く勢い。これは単純な「日本国産の方が安全」というブランドイメージはもちろんのこと、「何か問題があっても国外産では文句もろくにいえないし規制もかけられない」との考えも強いのだろう。また「製造年月日や賞味期限、消費期限に気をつける」や「なるべく添加物の少ない商品を買う」などもあわせ、「表示が正しいことが前提」の意見が多数を占めていることが分かる。
昨年雨後のタケノコのように発覚した食の安全に関する問題は、事情・罪悪感の認識の差異はあれど「自分の都合で消費者にウソをついた」という共通点がある。今回公表されたデータの端々に見られる「消費者にウソをつかないで」という意見は、このような実情に対する多数の意見を集約したものと考えることができよう。
特に食品事業に限らず、ビジネスにおいてはお互いが相手に対して誠実に努めることがもっとも重要。握手をしながら心の中で「アカンベー」をしていたのでは、信頼関係は長続きしないだろう。もし事態が発覚したとなれば、信用・信頼を失い、何年かけても取り戻せないに違いない。
さて。このアンケートが行なわれた直後、2月16日現在も進行中の「中国製ぎょうざの中毒問題をきっかけにした、中国産加工食品への問題」が発生している。発生直前においてですらこのような状況なのだから、ましてや事態が起きてから同様のアンケートを取った場合、どのような結果になるのか。gooリサーチ側に期待したいところだ。
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