患者数2000人突破・ことしも「はしか」流行のきざし
2008年02月28日 12:00
国立感染症研究所が2月27日に発表したデータによると、今月20日現在で全国の医療機関からほうこくされた「はしか(麻しん)」の患者が2000人を突破し、2119人に達していることが明らかになった。患者数は2月に入ってから急増する兆しを見せており、厚生労働省などでは注意を呼びかけている(【発表データ、PDF】)。
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「はしか」とはパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによる病症で、主に子どもから成年がかかりやすい。発熱など風邪のような症状が出たのち、高温と赤い発疹が出現。肺炎などの複合症を引き起こす場合もある。感染力が非常に強いことで知られているが、予防接種が有効。政府では2012年までに「はしか」を排除(95%以上の国民に予防接種を実施し感染を防ぐと共に、発生数の完全な把握を行なう)する「麻疹排除計画」を策定している。
すでに【患者1000人突破・はしかが今年も大流行の兆し】でお伝えしているように、去年幼児だけでなく10~20代の若年層にも多く発症したはしかだが、今年も同様の状況になりつつある。県ごとの報告数で上位リストは次の通り。
・神奈川県……807件
・福岡県……280件
・北海道……223件
・東京都……197件
・秋田県……119件
※2月20日現在、累計
感染しやすいという「はしか」そのものの特性からもあるが、特定地域での報告数が突出しているのが分かる。また小学生までの幼児だけでなく、中高生・大学生などの成年にも多く発生しているのがわかるデータも公開されている。はしかの発生を受けてすでに東京や北海道、九州の一部地域で学校・学級閉鎖の措置を行なう学校も出てきている。
年齢群別はしか累積報告数
発生が多発している年齢層は、「はしかワクチンを受けない人が多かった層」でもあり、実際に報告される患者の半数以上はワクチンを打った経験が無い人だという。本来麻疹についてはワクチンを接種している人がほぼすべてのはずであるが、これらの年齢層についてはワクチンの副作用が問題となった関係で予防接種を受けなかった人、あるいは予防接種を受けたが免疫力が落ちてしまい、発症してしまう可能性が高い。
厚生労働省が1月に発表した【2007年度麻しん風しんワクチン接種率全国集計結果(中間報告書、PDF)】によると、子どもへのはしかワクチンの接種率は全体で48.3%に過ぎない。もっとも高率の福井県ですら66.5%、低い県の福岡県にいたっては32.5%でしかない。子どものワクチン接種率順位と現段階でのはしか報告数を比較すると、人口が多い東京都を別にすれば、すべてワクチン接種率が低い県であることが気になる。
本人はもちろん周辺の人たちにも多大な負担がかかる病気の一つ、はしか。ワクチンの接種の是非は個人の判断に任せるところが大きい。が、状況をよく認識した上で、もしまだ接種していないようなら、対処をすべきなのかもしれない。
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