冬物の衣服が堅調だが…2008年1月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-1.7%

2008年02月24日 12:00

デパートイメージ【日本チェーンストア協会】は2月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年1月度における販売統計速報を発表した。それによると1月は中旬以降寒空が続き冬物の衣服などがよく売れたものの上旬の苦戦をカバーするまでには至らず、総販売額は軟調。店舗調整後の総販売額は前年同月比で1.7%のマイナスを記録した。年始めだからと景気良く消費してもらうわけにはいかなかったようだ(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の78社・8653店舗に対して行われている。店舗数は先月比で153店舗減、前年同月比で193店舗減。売り場面積は前年同月比97.2%と2.8%ほど減っている。最近は売り場面積は増える一方だったが、さすがに店舗数の減り方がここまで大きなものになると、そうもいかないようだ。

昨今の傾向としては「店舗数減少、売り場面積増加、従業員数増加」というパターンが続いていた。しかし年末で区切りよく閉店した店が多かったからなのか1月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示している。

これはここ半年の間には見られなかった傾向で、チェーンストアをとりまく環境が一層厳しい状態に入った(チェーンストアという分野の小売が縮小しつつある)可能性があることを示している。ただ今月は区切りのよい月なので、たまたま閉店店舗数が多かっただけかもしれない。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆1721億4769万円
・食料品部門……構成比:59.4%(前年同月比99.7%、▲0.3%)
・衣料品部門……構成比:13.8%(前年同月比95.8%、▲4.2%)
・住関品部門……構成比:20.6%(前年同月比96.4%、▲3.6%)
・サービス部門…構成比:0.3%(前年同月比88.7%、▲11.3%)
・その他…………構成比:5.9%(前年同月比98.6%、▲1.4%)


店舗数の減少など
全体的に萎縮状態。
特にサービス部門の
下げ方がキツい。

1月は株価が思いっきり暴落しての年明けとなり、物価が上昇する気運を示す経済指標も相次いで発表。厚生労働省発表の平均現金給与総額も3年ぶりにマイナスとなるなど、消費を冷え込ませる要素が相次いで明らかにされている。また、月後半に寒さが増して冬物商材の売行きが堅調になった状態ですら前年比-4.2%に終わった衣料品の下げが気になる。具体的な商品の売行きを見ると、スーツ(男性)やコート(女性)など、どちらかといえばぜいたく品に属する分野の衣料品、あるいは「今すぐに買い換える必要性はなく、既存のものを我慢して着続ければなんとかなる」類のものについて購入をひかえているようにも見える。

先月よりはさらに回復が見られるものの、住関品の下げも大きい。ただしエアコンやカイロや湯たんぽなどの寒さに備えるものの売行きの堅調さが見られた。ただしこちらも衣料品同様に、ぜいたく品に属するもの、あるいは今すぐに買い換える必要がないものの売行きは落ち込んでおり、消費者側が我慢をしているようにも見える。また現在でも新築時に買い替えが進む家具類はほぼ全滅状態。

改正建築基準法による
住宅着工の減少影響継続中。
一方で全体的に
ぜいたく品をひかえる
傾向が見受けられる。

【改正建築基準法で影響を受ける周辺業界たち】でも説明したように、建築基準法の改正による行政側の不手際で、新築住宅の建築のペースは大幅にダウンしている。最悪期は脱したものの、この影響が住関品関連の売上を押し下げている可能性は高い。これはここ数か月の間における定例的なパターンであったが、今回発表月である今年1月分は、さらにそれに加えて、「ぜいたく品」「買い換えを我慢すればなんとかなる品物」の買い控えが見え隠れしており、その結果が出ている雰囲気がある。

現在内需、つまりは日本国民一人一人の購買力、の縮小が懸念されている。政府側や一部指標では相変わらず好景気がうたわれているが、消費者が直接経済動向に対面する小売の分野では、どらちの主張が正しいのか、一目瞭然のようである。


(最終更新:2013/08/11)

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