下げ幅はTOPIXの半分! 下げ相場に強い傾向を見せたシャリア指数
2008年01月08日 08:00
原油価格の高騰やアラブ首長国連邦の政府系投資ファンド(SWF)のアブダビ投資庁(ADIA)による相次ぐ投資案件のニュース化などで、何かと注目を集めているオイルマネー。そのオイルマネーを日本に呼び込むべく採用された指数「シャリア指数」について、昨年12月前半のパフォーマンスが日経平均などと比べて「かなり良い」ことが明らかになった。間接的にではあるが、オイルマネーそのものやそれを見込んだ先行買いが対象銘柄に入っていることが推定される動きといえる。
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中東諸国では先日先物価格が100ドル/バレルを超えた原油価格の高騰で利潤が拡大の一途を続け、その資金を「オイルマネー」と呼ばれるが如く各国に投資している。一方でイスラム諸国では、豚肉やアルコールを摂取したり利益を受け取ることが教義上できないため、このような事業を行なう企業への投資ができない。
そこで東京証券取引所がグローバル・インデックス算出先大手のスタンダード&プアーズ(S&P)と共同で、「広告・メディア、酒類、金融、ギャンブル、豚肉、ポルノ、タバコ、金銀取引」など不適合業態や、財務状況などをチェックした上で日本株の銘柄を選定して「S&P/TOPIXシャリア指数」を設定し、イスラム諸国の投資家が売買可能な銘柄の値動きの目安として提示。「オイルマネー」を呼び込もうとのことで作られたのが、このイスラム投資家向け「S&P/TOPIXシャリア指数」。
2007年12月3日に算出が開始され、ようやく先日【東証の株価指数一覧】にも説明が付け加えられたが、残念ながら共同指数からなのか東証のページではリアルタイムの表示が行われていない。現状ではスタンダード&プアーズの関連サイトで逐次チェックを入れるしかないようだ。
さてそのシャリア指数について、導入開始から約2週間が経過した2007年12月14日、興味深いリリースが公開されていた。「S&P/TOPIX150シャリア指数のパフォーマンスについて」というタイトルのもので、(【リリース一覧ページ】)、開始から2週間におけるシャリア指数とS&P/TOPIX150、TOPIXの動向を示したものだ。
2007年12月3日を100とした、シャリア指数とS&P/TOPIX150、TOPIXの動向
例えば12月7日(シャリア指数開始初週週末)におけるパフォーマンスは、シャリア指数が+1.82%だったのに対しS&P/TOPIX150は+2.18%・TOPIXは+1.93%とやや劣っているものの、市場全体が売り優勢となった12月10日から始まる週の週末12月14日(シャリア指数開始から第二週週末)ではシャリア指数のパフォーマンスは-1.13%に留まっているのに対しS&P/TOPIX150は-2.19%・TOPIXは-2.02%と倍近い下げ幅を記録している(いずれも12月3日時点を基準)。
まだ二週間分のデータしか公開されていないので絶対視はできないものの、下げ相場で特に強い結果を見せたシャリア指数。このような結果が出たのは、オイルマネーが実際に入っている、あるいはそれを期待した個人投資家の買い支えが行なわれている、またはシャリア指数採用銘柄そのものが昨今の下げ相場には強い性質を持つものが多いなどの理由が考えられる。
どの推論が正しいのか、あるいは他に理由があるのかなどさまざまな分析は、今後データが逐次公開されるにつれ明らかになることだろう。
■関連記事:
【東証が中東向け株価指数「S&P/TOPIX150シャリア指数」を開発、12月3日から配信】
【イスラム投資家向け株価指数「シャリア指数」採用銘柄一覧公開開始】
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