【更新】日経・朝日・読売共同読み比べサイト「新s(あらたにす)」本日オープン
2008年01月31日 08:00
日経新聞・朝日新聞・読売新聞からなるインターネット事業を展開するための組合「日経・朝日・読売インターネット事業組合」は1月30日、1月31日からインターネットニュースサイト【新s あらたにす】を運営すると発表した([発表リリース])。
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●三社の記事を並列表記して「比べて読んで」
今回発表された「新s あらたにす」は先に【日経・朝日・読売による「ANY連合」正式発表、販売事業分野でも業務提携】で報じた、俗に言う「ANY連合」による共同事業展開の一環。リリースなどによると、多種多様のニュース、さらには社説や解説、評論記事など各新聞社の意向や思想、思惑などが色濃く反映される記事についても、それぞれ並列掲載することで、「より分かりやすく、より詳しく、より興味深く伝えていく'新聞ナビゲーションサイト'」になるのだろという。
「新s あらたにす」イメージ画像
つまり同じテーマ・事件に対し、三新聞社がどのようなタイトルやリード、そして内容で読者に説明をしているのかが一目で分かるサイトを、新聞社自らが提供することになる。このように並列表記することにより、具体的には「各新聞社が発信する報道や社説、評論の価値を統合または対比しつつ広く提供していくことで、かっ達な言論社会づくりに貢献するとともに、新聞事業の更なる発展を目指」す、としている。
このような機能的便宜性を読者に提供する一方、「新s あらたにす」の運用目的として「インターネットなどが普及しているが、三社は『新聞こそが最も信頼性の高いメディア』『今後もそうあり続けなければならない』」とした上で、「ネットに配信されている記事も大半は新聞社の記者が取材して記事にしたもの」と説明。そして「新s あらたにす」を構築して新たな価値を提供することで、「ネット社会での新聞社の影響力、発信力をいっそう高めることを目指」す、と解説している。
具体的なコンテンツとしては、三紙の重要記事をまとめて読み比べることができる「くらべる新聞」(一週間分のバックナンバーからチェックできる)、著名人が新聞記事を対象に評論や解説をする「新聞案内人」、話題のニュースをまとめてチェックできるクリップ集「注目テーマ」などが用意される。今後さらに機能を充実する予定もあるという。
「ANY連合」では販売分野での提携や災害時等の新聞発行の相互援助以外に、今回立ち上げたサイトのような「インターネット分野での共同展開」が事業予定項目として挙げられていた。今回の「新s あらたにす」がまさにそれに該当することになる。同一テーマに対して各新聞社の比較に重点を置いた、という点では既存の検索エンジン系ポータルサイトが提供しているニュースクリップ・サイトサービスや【52紙から成る全国新聞ネット、ニュースポータルサイト「47NEWS(よんななニュース)」を12月24日から公開】にもあるような「47NEWS」と比べて一歩先行く感がある。
●何が「新たに」なるのだろうか
ただ、紙メディアとしての新聞の信頼性に疑問符が投げかけられている点・原因については言及せず、単に「今まで信頼性が高かったメディアだから今後もそうなければならない」という御旗を掲げて、振り回しているような雰囲気がリリースからも感じられるのが気になるところ。
日経・読売・朝日は
何を「新たに」するのだろうか
また特に外交・政治面において表現方法や主張が真っ向から対立することが多い朝日と読売、そして経済系ニュースでフライングが多い日経が同じテーマで並列されることにより、色々と読者に考えさせられるようなビジュアル・文面が展開されるかもしれない。
とりわけ経済系ニュースについては先の加ト吉問題にあるように、読売系も最近になって日経に追いつき追い越せとばかりに気合が入る一方、公告の電子化により日経新聞の影響力が低下しているという話もある。経済系ニュースでも、特に日経と読売の間で火花が散るような展開が見られるかもしれない。
果たして日経・朝日・読売連合による「新s あらたにす」が三社の融合パワーで画期的なものとなり、目的通り大きな影響力をインターネット上に浸透させていくのか、それとも企画倒れに終わるのか、そして何よりこの三社記事併記によって読者に何が「新たに」なるのか、注目していきたいところ。
また、この「ANY連合」からは外れて、独自にインターネット上で新聞との連動を色々と模索している【毎日.jp】(毎日新聞社)や[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています](産経新聞社)の動向も気になるところだ。
(最終更新:2013/08/14)
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