株価急落!~資産をどこに移すべきか・株?債券??それとも現金!?

2008年01月29日 19:35

株価の天井感というものは、親のありがたさと同じくそれが過ぎ去ってから初めて分かるもの。直近ではどうやら日経平均1万8000円台が天井だったようで、あとは今現在に至るまで多少のリバウンドを繰り返しながら急降下爆撃機のような下げ方を見せている。このような市場状況は何も日本に限ったことではなく、むしろ要因の一つであるアメリカ市場でも同じこと。そのアメリカの一般大衆誌【USA TODAY】において、興味深いお話が掲載されていた。タイトルにいわく、「(この株価急落の事態において)資産をどこに移し利殖すべきか(Where's the best place to plant your money?)」というものだ。

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記事の掲載は1月23日というから、今から一週間ほど前。アメリカのブッシュ大統領が景気刺激策の素案を発表し、さまざまな論議が交わされていた真っ最中での話。記事は「この一年の株価下落で市場からは2兆2000億ドル(242兆円)が失われた。そしてその一部があなたの資産だった可能性は高い」という、胸を突き割くような質問で始まっている。そして読者から次のような質問が相次いでいると説明。いわく「今は何をするべきなの? 買い時? 売るの? もう分かんないよ」。フロリダのあるフィナンシャルプランナーはこのような顧客からの矢継ぎ早の質問に「世界が終わるわけではないのですから、と返事をするのに丸一日かかった」と当時の状況を回想している。

株価急落のさなか、「超お買い得」になった銘柄を安値で拾ってほくそ笑む人もいれば、手持ちの資産が日に日に目減りして頭をかきむしるほど悩んでいる人もいるだろう。このような時、リスクに寛容であるか否かをとわず、長期投資をスタンスとする人や、現金・債券・株式に分散投資をしている人なら、現状において最適な選択肢は「現状維持」であるという。

「体は株を売れ、というけど頭は売るなと言っていた。葛藤に悩まされ続けているんだ」とある投資家はいう。だが「リスクから逃れてばかりでは大きな財産を得ることもできない」ともコメント。投資顧問も言う。「例えば15年の長期で考えれば、ポートフォリオ内から株式や投資信託を外してはいけない。株式はその投資期間であればもっとも高い収益を上げうるのだから」と。

過去20年強のダウチャート(元記事より)。一時的な下げはあったが全体的には上げ調子。今回のような急落も短い期間で見れば大急落だが、歴史の中ではわずかな瞬きに過ぎない、ということを表している……のだろうか。
過去20年強のダウチャート(元記事より)。一時的な下げはあったが全体的には上げ調子。今回のような急落も短い期間で見れば大急落だが、歴史の中ではわずかな瞬きに過ぎない、ということを表している……のだろうか。

それでも万能な投資戦略は存在せず、ましてやこのような市場環境においては人は心理的に不安定となり、さまざまな、そして自分の納得がいく回答を「賢者」に求めるもの。元記事でも3人の専門家に「現状でどのような投資戦略をとるべきか」とたずねている。

■ロドリゲス氏(USA TODAY)……「現金が一番(CASH IS KING)
 市場環境がよくなるまで、わざわざリスクのある金融商品を保有している必要は無い。預金した時の利子率は年利4%であるし、FRBの金利引下げ政策によってさらに利子率は下がるだろう。「これからますますリスクが高まるかもしれない」。だから暴落しない現金にしておくのだという。ではいつ買いに入るのか。それは「周りの人が『もう売るのは遅すぎるかな』と聞いてきたときだ」という。

資産運用イメージ■ストボール氏(S&P)……「債券を買い進めてポートフォリオのバランスを変更しましょう(ADD BOND FUNDS AND STIR)」
 このような状況ではポートフォリオ中の債券の割合を増加させた方が安心。債券4割・株式投資信託6割が理想だが、もう少し安全性がほしいのなら債券の割合を増やせば良い。リスクを許容してでも大きな利益を望むのなら、株式投資信託の割合を増やすか、株式そのものを買えば良い。今の株価はほぼ底値。「1945年以来FRBは金利を11回引き下げたが、それぞれの場合引き下げた一年後には株価はそのときよりは上がっているのだから」と彼は述べている。ポートフォリオにおける金融商品の構成比率を変えることを「リバランス(リバランシング)」と言うが、これには時として感情的にネガティブな行為を強要されることもある。しかしそれは利益を上げるためには必要不可欠なことと主張している。

■バーン嬢(WHG基金のマネージャー)……「泣き喚く前に買いなさい(DON'T CRY; BUY)
 リスクを許容できるのなら、このような株価急落など変動市場においては日常茶飯事なのだから気にするな、むしろこのような時こそ買い向かうべきだとしている。さらに「アメリカ一国(※原文記事は米国読者向け)のみに投資するのではなく、世界に目を向けた投資をすべきだ」とし、海外の成長に合わせて値を上げるような海外の株式などを組み込んだ投資信託も買い入れるべきだ、としている。


「市場が落ち着くまで現金で待機」「債券の割合を増やして被害を抑える」「むしろ買い向かうべき」と意見は三者三様。どれも正しくて、どれも違うような気がする。ただ、いずれの識者の意見でも「リスクを許容して初めて投資という行動ができる」という共通認識を見ることができる。ロドリゲス氏についても、「現状が許容できるような小さなリスクを持つ市場ではないので、現金化して預金利子を楽しむ」というわけだ。

アメリカの株式市場が昨今の下げで留まるのか、さらに下げるのかは今のところ未知数。本日のダウは1万2383.89ドル、ナスダックは2349.91ポイントで引けている。これがさらに値を下げて今年中にダウが1万割れ、ナスダックも2000ポイント割れを目指す可能性はある。逆に年末にはダウ1万4000回復、という可能性もゼロとはいえない。日本市場にしても、同様に日経平均株価が1万円台に達するかもしれないし、1万8000円台に向けた展開もありうる。

いずれにしても自分の投資スタンスとリスク許容度、そして肝っ玉の太さを認識した上で、最適の投資戦略を見つけ出そう。そして市場環境にあわせ、効果的な運用法を目指していこうではないか。

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