乱高下した今週一週間の相場展開、信用売方買方共に含み損状態へ
2008年01月26日 12:00
【松井証券(8628)】が毎営業日に発表している信用取組によると、今週一週間の株式市場の乱高下により、週末の時点で信用取引で株式を購入している「信用買い方」、及び信用売りをしている「信用売り方」共に評価損益率がマイナスに陥ったことが明らかになった(【メルマガ発行スタンド(まぐまぐ)】)。
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松井証券では2002年7月17日約定分から、信用取引に関する残高や評価損益率などを当日公開している。今データは松井証券に口座を開き専用ツールで閲覧するか、誰でも無料で購読できるメールマガジン「松井証券マーケットプレゼンス」で確認できる(【サービス開始リリース、PDF】)。対象データは松井証券の顧客に関するもののみだが、各種信用取引に関する同社発表データは、相場全体の様相を確認するのには役立つ指標となる。
「信用評価損益率」とは、個人投資家などが信用取引を使って株式を購入した場合における、その株式の含み損益を表す。要は「借金をして買った株の評価損益」。マイナスなら含み損、プラスなら含み益という具合。信用取引では一般に半年間で売り方も買い方も取引を精算する必要があるため、損切りラインの設定も現物取引と比べるとシビアな場合が多く、通常はマイナス10%を超えると「損切り」、つまり損失確定売りが増えるといわれている。
最新のメルマガによれば1月25日時点では
信用残(億円)/評価損益率(%)
売り残……186.50/-3.882
買い残……2,151.94/-21.966
※倍率 11.539倍
という値が出ている。ご存知の通り東京株式市場は今週において月・火と急落したあと水以降は上昇に転じている。木曜の段階で売り残評価損益率もマイナスとなり、大幅に株価が上昇した金曜日において、売り方の損失が増え、買い方の損失は改善される様子を見せている。
前半と後半で正反対の展開を見せた今週一週間について、信用売り方・買い方それぞれの残高と評価損益率をグラフ化し、それに日経平均株価の終値の変化を重ね合わせてみると次のようになる。
信用残と日経平均株価の変化(黒太線)
評価損益率と日経平均株価の変化(黒太線)
これらのグラフを見ると次のような傾向が推測できる。
・日経平均株価が持ち直した週後半、株価が上昇すると共に信用買い方の損失は減少し、売り方は損失が増加している(ごく当たり前の話)。
・日経平均株価が1万3000円を回復した1月24日の時点ですでに売り方は含み損の域に突入している(レバレッジを大きめにかけているものと思われる)。
・買い方は残高が減少。株価下落時には損切り、上昇時には利益確定や「やれやれ売り」(買値と同じ値での売却)、あるいは損失が少なくなった時点での損切りをしているものと思われる。
・売り方は株価下落の際には残高が多少減少していたが、株価上昇と共にむしろ残高が増えている。これは今後において再度株価が下落するものと想定し、ナンピン(売り増し)しているものと思われる。
売り方も買い方も
次週以降は
再び下落と予想?!
特に最後の「株価が上昇する過程で売り方が売り増ししている」点は注目すべきものといえる。少なくとも信用売り方の投資家たちは、今週後半の株価上昇が一時的なものであり、そう遠くないうちに少なくとも今週前半(つまり日経平均1万2000円台)まで再度下落すると読んでいるフシがある。
また信用買い方の残高が減少しているのも、このまま株価がさらに上昇する=利益拡大を狙えるから今のポジションを維持する・買い増しするよりは、むしろ今週の上昇が一時的なものだろうと考え、今のうちに「利益確定」や「損失が減った時点で撤収」しておいた方が安全だと判断した人が多かったと考えられる。
彼らの判断が正しかったのかどうかは、次週の相場展開で明らかになることだろう。
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(最終更新:2013/08/16)
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