「上場審査が甘い」名古屋証券取引所が金融庁から業務改善命令処分
2008年01月26日 12:00
金融庁は1月25日、名古屋証券取引所に対し、上場審査業務に不備があったなどとして、業務改善命令を発出した。証券取引等監視委員会が2007年12月13日に行政処分を行うよう勧告していた件についてであり、証券取引所の上場審査体制に対する改善命令を金融庁が出したのははじめてのこととなる(【発表リリース】)。
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リリースなどによると名古屋証券取引所(名証)では新興企業向けの市場「セントレックス」の上場審査において、複数の銘柄に関して審査の過程で、利益計画の策定根拠やその合理性、妥当性の一部について、十分なチェックをしていない事例が見受けられた。セントレックスの上場企業は現在32社。上場基準は大まかにいって「高い成長性」。
指摘された問題点は、例えば「上場申請時の当期業績が実際には大幅に下ぶれし、さらに売上計上の是非に関連して監査法人が変更されている」「申請後に売上高予想が数回に渡り下方修正される」など、十分に審査を尽くすべき事例だったにも関わらず、審査が存分に行なわれなかったというもの。証券取引等監視委員会及び金融庁ではこれらを「重大な不備があった」と判断した。
金融庁ではこれらの件について具体的な改善策を盛り込んだ業務改善計画を2月29日までに提出し、以後しばらくは3か月ごとに報告するよう名証に命じている。
地方の証券取引所はその地域の地元企業を支援する位置づけもあるため、東証などの大規模取引所と比べると上場基準が多少甘くなっているのが常。とはいえ、それを悪用して「上場ゴール」(上場時に市場から資金を巻き上げることが企業の最終目的とする起業の仕方)的な上場を果たしたとしか思えない企業が相次ぎ、新興市場全体の信頼感を損なっていることも否定できない。
真面目に上場を果たした一部の企業の利益まで損なうことのないよう、指摘された点において名証は猛省をし、改善をしてほしいものである。
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