信用評価損率が算出来で計測史上最悪の値に・今後急速に「投売り」増加か
2008年01月17日 08:00
【ブルームバーグ】などが報じたところによると、昨今の株式相場の急落を受け、信用取引で株式を購入している「信用買い方」の信用評価損益率は1月16日でマイナス29.122%に達し、連日で算出をはじめた2002年7月以降最悪の数字を記録した(【松井証券(8628)】のデータ)。
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松井証券では2002年7月17日約定分から、信用取引に関する残高や評価損益率などを当日公開している。今データは松井証券に口座を開き専用ツールで閲覧するか、誰でも無料で購読できるメールマガジン「松井証券マーケットプレゼンス」で確認できる(【サービス開始リリース、PDF】、【メルマガ発行スタンド(まぐまぐ)】)。対象データは松井証券の顧客に関するもののみだが、2002年の段階で信用取引順位は東証正会員123社中、株数ベースで2位、金額ベースで8位と大きな割合を占めており、各種信用取引に関する同社発表データは、相場全体の様相を確認するのには役立つ指標となる。
「信用評価損益率」とは、個人投資家などが信用取引を使って株式を購入した場合における、その株式の含み損益を表す。要は「借金をして買った株の評価損益」。マイナスなら含み損、プラスなら含み益という具合。信用取引では一般に半年間で売り方も買い方も取引を精算する必要があるため、損切りラインの設定も現物取引と比べるとシビアな場合が多く、通常はマイナス10%を超えると「損切り」、つまり損失確定売りが増えるといわれている。
これまでは2007年8月17日(俗にいう「サブプライムローン・ショック」)のマイナス23.1%が最悪の数字だった。昨日1月16日に配信された(現在は上記まぐまぐの発行スタンドにも掲載済み)16日分指標によると、
信用残(億円)/評価損益率(%)
売り残……154.47/5.201
買い残……2,466.23/-29.122
※倍率 15.966倍
という値が出ている。簡単にまとめると「平均で信用売り方は5.201%の含み利益、信用買い方は-29.122%の含み損を抱えている」ということになる。あくまでもこれは松井証券の顧客のみの統計データだが、恐らくは市場全体もさほど変わりはないだろう。
一般に信用取引においては、担保(現金や保有株式の評価額)の3倍までのやり取りが出来る。逆に、委託保証金率が約3割(証券会社によって異なる)を切ると「追証(追加で入金し担保を積み増す)」必要が生じ、それが出来なければ持ち株を強制的に売却させられてしまう。
株式市場が低迷すると担保としている株式の評価額が下がり、利用できる信用保証額上限が減ってしまう。従って市場下落は信用取引による買い方にしてみれば、「含み損の拡大」だけでなく「信用保証額上限の下落、追証のリスク増大」にもつながることになる。
ましてやここ数日の相場急落、特に昨日16日はストップ安銘柄が200を超え、新安値銘柄も1165と過去最多に及んでおり、「追証回避のために売りたいのだが売り切れない」状態にあると推測される。すでに含み損が約3割に達していることから、今日17日以降も相場の下落が続けば、追証による強制決済(強制的な売り)や、今まで耐えてきた投資家による投売りが続発する可能性が高い。当然現金化するための「売り」なので、ますます株価下落に拍車がかかる恐れがあると見てよいだろう。
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