卵アレルギーの人も食べられる卵「ハリマ夢たまご」開発

2008年01月13日 19:00

かごの卵イメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]が伝えるところによると【兵庫県の県立播磨農業高校】の生徒が開発したニワトリの卵「ハリマ夢たまご」が人気を集めているという。元々体に良い食品の開発を進めていく過程で、エサを工夫して特定成分の多い卵を産ませることにより、卵アレルギーの人にも食せる卵が出来た。2007年末からは大阪北区の阪神百貨店でも限定販売され、飛ぶような売行きとのこと。

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この卵「ハリマ夢たまご」を開発したのは、播磨農業高校の畜産科3年・卵生産研究班。生活習慣病を予防するための手助けとなるようにと、2006年度から課題として「食べて健康になる卵」の開発に着手。まずはお茶や納豆菌、米ぬかなど人間にとって健康によいとされる成分を含む食材を混ぜて卵にその成分を移せるかを検証。大部分は成功した。そして生活習慣病予防に適した卵の開発に重点を置き、青魚が原料の魚粉とシソを追加した。

このエサで育ったニワトリが産んだ卵を日本食品分析センターで調べたところ、中性脂肪を減少させるとしているDHA(ドコサヘキサエン酸)が通常の4倍以上、アレルギー抑制効果があるとされる不飽和脂肪酸α-リノレン酸が5倍、エイコサペンタエン酸(EPA)も多く含まれていることが明らかになった。また、エサだけでなくニワトリの育成環境もストレスを与えないようにする、健康診断体制を強化して病気を防ぐなど、注意を十分に払っている。

健康によいとされる成分を豊富に含んでいるだけでなく、卵アレルギーの人でも口に出来るとのことから、試験販売が行なわれている阪神百貨店でも人気が集まっている。週120個のペースで出荷されている商品はすぐに売り切れるとのこと。

今後は健康にどのような寄与をするのかを科学的に検証する一方で、個性的な県産の食品として兵庫県が認める「認証食品」への申請を検討し、ブランド化を図るという話だ。

【全国高等学校農場協会】【所属高校の活動内容(PDF)】を見てみると、同高校の畜産科の項目には「ブランド卵(ハリマ夢タマゴ)」と称し

生活習慣病予防に適したタマゴの開発に成功。鶏に魚粉とシソを加え中性脂肪を減少させるDHAとコレステロール値を下げるα-リノレン酸を卵に移行させることに成功し、この「ハリマ夢たまご」を通して健康な食生活の改善を提供するとともにブランド化を図っていきたいと考えている。


という記述がある。元々は生活習慣病予防のための卵の開発で、卵アレルギーの人でも食べられるという特徴は偶然に近い副産物だったことが分かる。また余談になるが同畜産科では他にも「牛舎環境の改善」として、牛舎の屋根にさつまいもなどを植えて緑化・暑熱対策を施し、牛の環境を改善し乳牛の供給を安定化させるという、発想的には【NTT都市開発(8933)、サツマイモで都市冷却化実験】と類する実践的なアイディアを展開しているのが分かる。

単にエサの構成成分だけでなく育成環境など様々な条件が必要なため、すぐに量産することは難しい。また、元記事にもあるが「体に良い」「卵アレルギーでも食べられる」などのポイントを科学的に証明する必要も出てくるだろう。ただしそれらのハードルは(関係各方面が本気を出せば)それほど高くはない。何より多くの人が悩んでいる卵アレルギーに光明を与えてくれるかもしれない卵の登場に、期待する人は少なくないはずだ(もちろん「卵アレルギー」といってもその内容は千差万別で個人差は大きい。すべてのアレルギーの人でOK、というわけでは決してないだろう。そのあたりを誤解している人がおられるようなので、念のため)。

目玉焼きや卵焼きなど卵そのものの料理以外にも、パンやめん類、お菓子類など卵を使った料理は多い。アレルギーを持つ人はそれらを避けて食事を摂らねばならず、その苦労は察するに余りある。多くの人の笑顔をもたらすかもしれない「ハリマ夢たまご」の今後に注目したいところである。

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